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Lezel:「まほあく」OP「未完成ランデヴー」制作秘話 “END LESS”の思いを込めて

「かつて魔法少女と悪は敵対していた。」のオープニングの一場面(C)藤原ここあ/SQUARE ENIX・まほあく製作委員会

 テレビアニメ化された「妖狐×僕SS(いぬぼくシークレットサービス)」で知られる故・藤原ここあさんの“ロマンチックラブコメディー”マンガが原作のテレビアニメ「かつて魔法少女と悪は敵対していた。(まほあく)」。原作は、藤原さんが2015年に急逝したため絶筆となった“未完の名作”だ。7~9月にテレビアニメが放送され、原作への愛が随所に感じられる映像はもちろん、アーティストのLezel(レゼル)さんが歌うオープニングテーマ(OP)「未完成ランデヴー」も話題となり、最終回放送後も人気を集めている。原作連載時から「まほあく」の大ファンだったというLezelさんに「未完成ランデヴー」の制作秘話、楽曲に込めた思いを聞いた。

 ◇楽曲制作の裏にあったオタク語り

 「まほあく」は、月刊マンガ誌「ガンガンJOKER」(スクウェア・エニックス)で2013~15年に連載された。世界を滅ぼそうとする悪の参謀・ミラが、世界を守るために戦う魔法少女・深森白夜に一目ボレしてしまう……という展開。敵対するはずの二人の“殺し愛(あ)わない”日々がコミカルに描かれた。コミックスが第3巻まで発売されている。

 Lezelさんは、藤原さんの「妖狐×僕SS」「まほあく」のファンで、両作が一時同時連載されていた頃は「佳境に入ってシリアスになっていく『妖狐×僕SS』と、ふわふわで可愛い『まほあく』の世界観のギャップを楽しんでいました。しょっぱいものと甘いものを繰り返し食べるような感じで読んでいた思い出があります」と語る。

 「まほあく」のアニメ化を知った時は「夢かと思いました」と驚いたという。

 「プロデューサーに『かつて魔法少女と悪は敵対していた。』というマンガを知っている?と聞かれて、大好きなマンガですと答えたら、その思いを込めてアニメを制作するボンズさんと監督に手紙を書いてみませんか?と言われたんです。それが、主題歌のアーティストとして私を提案するようなお手紙だったんです。その時にアニメ化することを知って、私の中では既に連載が終了しているマンガはアニメ化しないものだと思っていて、ましてや完結していないし、先生もいらっしゃらない状況で、アニメ化するの?と。お手紙を書くことになって、ようやく現実味が出てきました」

 OPを担当することが決まった時は、原作愛が強く「歌で作品に参加したい」という気持ちがあっただけに「自分じゃない人に決まらなくてよかった」とほっとしたという。OP「未完成ランデヴー」は、Lezelさんとこれまでも何度もタッグを組んできた夏目縋さんが作詞・作曲・編曲を手掛けた。楽曲制作において、Lezelさんは「まず、私が彼にオタク語りをし続けたんです」と明かす。

 「彼は男の子で少女マンガへの免疫がすこし少ないので、少女マンガへの入り方からお話ししていきました。『まほあく』の単行本を1ページめくるたびに『ここがいいの』と力説して。それに、単行本を買った時のワクワク感や、先生がお亡くなりになられた時の喪失感や悲しみも伝えました。彼自身、元々原作のある作品に携わる時は、本がヨレヨレになるまで読み込む人なんですけど、今回は夏目さんが作詞・作曲を担当されていたので、少女マンガのときめきを鮮明に理解してもらえるように、洗脳に近いイメージでずっとお話ししていましたね」

 ◇「未完成なままでいいの」に込められたもの

 「未完成ランデヴー」は、白夜がミラの制服にアップリケを付けるエピソードをほうふつとさせる「花刺繍」、いつも公園で待ち合わせしている二人を思わせる「いつもの場所で 待ち合わせするの」など、「まほあく」の要素が歌詞にちりばめられている。中でも印象的なのが、冒頭の「未完成なままでいいの エンドロールはいらないから」という歌詞だ。

 「夏目さんが作品自体に対して、先生に対して、ファンの皆さんに対して、いろいろな方面に対して『未完成なままでいい』という直球な文を入れてくれたのではないかなと思います。私の中の『まほあく』はふわふわとして可愛いのはもちろんなんですけど、やっぱりすこし儚く(はかなく)て、どうしても悲しみを背負った作品であるなとは思っているんです。『続きが見たかった』と思う人はたくさんいて、私もその1人なので、そうしたはかなさや、その中にある甘さがすごく楽曲に表現されているなと思いました。夏目さんが『まほあく』とLezelの世界観を融合させたものを作りたいと思ってくれて、夏目さん自身が原作を読み込んだ『まほあく』の世界観も反映させてくれたから、きっと『未完成なままでいいの』というスタートになったのかなと思います」

 レコーディングでは、挑戦もあったという。

 「きれいすぎても違うし、可愛すぎても違うというイメージがあったので、細すぎず、でも太くなったり、いかつくなりすぎないように、狭いストライクゾーンの真ん中を行くような、綱渡りをしているイメージで歌いました。今まで歌っているオリジナルの曲にはあまりないような表現をしていて、ほかの楽曲ではパワフルにがなったり、高い音で強い歌い方をすることが多いのですが、今回は淡くふわふわとしたイメージで歌いました。その中に、私がよく歌っているような、小刻みなスタッカートで歯切れのいい軽快な雰囲気も入れました。ただ淡くだけとか、ウイスパーっぽく歌うと、のっぺりと聞こえて、私の中の解釈とは不一致だったので、解釈と一致させていくために試行錯誤しました」

 ◇最終回に涙 「みんなの中で続いていく」

 アニメの最終回では、Bパートの終盤でエンディングテーマとクレジットが流れ、その後にOP「未完成ランデヴー」が流れる中、ミラや白夜たちの日常が描かれた。最後に“END LESS”というメッセージで締めくくられるというラストシーンも話題になった。Lezelさんも最終回には「鳥肌が立った」と振り返る。

 「最終回でそんな演出になるとは知らなくて。最終回はオープニングで『未完成ランデヴー』が流れないんだ、さみしいなと思って。ただ、エンディングのミラと白夜の歌も可愛いし、それで締めくくるんだなと思っていたら、エンディングが終わった後に、『未完成ランデヴー』が流れ出して、うわっ!と声が漏れました。曲が流れる中、キャラクターたちの会話があって、『未完成ランデヴー』の終わり方ってこういう感じなんだ。歌詞でも『エンドロールはいらないから』と言っているから、なるほど、エンドロールじゃないなと思って感動しました」

 「END LESS」のメッセージには、思わず涙がこぼれたという。

 「最後に『END LESS』というメッセージを見た時は、鳥肌が立って。涙がこぼれるわ、鳥肌立つわで、しばらくテレビの前から動けなかったです。このままエンドはないし、みんなの中で続いていく、彼らはずっとこの公園で待ち合わせをしているんだ、確かに“ランデヴー”ポイントだよねって。自分の楽曲が伏線になっているように見えるのも相まって、またぞわっとしましたね」

 最終回で、「まほあく」と「未完成ランデヴー」がリンクし、多くの人の感動を呼んだ。

 最後にLezelさんは「私のファンの皆さん、『まほあく』のファンの皆さん、ここあ先生のファンの皆さん、『未完成ランデヴー』を聴いてくださった皆さんの中で、永遠に、それこそエンドレスに、人から人につながって、広がっていってくれるとうれしいなと思います。これからもぜひたくさん愛していただければなと思います」とメッセージを送った。

 「未完成ランデヴー」や、ミラ&深森白夜によるエンディングテーマ「いつも二人がいいね」などが収録されたアルバム「『かつて魔法少女と悪は敵対していた。』Music Collection」が発売中。

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