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2025年は、1月期の「まどか26歳、研修医やってます!」(TBS系)、4月期の「波うららかに、めおと日和」(フジテレビ系)と2期連続でドラマ主演を果たした芳根京子さん。そのほか、映画「雪の花 ―ともに在りて―」「君の顔では泣けない」の公開、舞台「先生の背中〜ある映画監督の幻影的回想録〜」の上演もあった。中でも、本田響矢さんとの夫婦役を愛らしさいっぱいに演じた「めおと日和」は、新たな代表作に。そんな芳根さんのキャリアを振り返り、俳優としての魅力に迫ってみたいと思う。
◇“オモコー”から朝ドラヒロイン まさにシンデレラストーリー
芳根さんは1997年2月28日生まれ、東京都出身。俳優デビューは、2013年の連続ドラマ「ラスト・シンデレラ」(フジテレビ系)で、「波うららかに、めおと日和」と同じ「木曜劇場」の作品だった。翌2014年度前期の連続テレビ小説「花子とアン」で朝ドラに初出演。2015年の連続ドラマ「表参道高校合唱部!」(TBS系)では、約1000人の中からオーディションで主役の座を射止め、その勢いのまま、2016年度後期の朝ドラ「べっぴんさん」のヒロインに、やはり2261人の応募者のあったオーディションによって抜てきされた。
「シンデレラストーリー」を地で行くようなこの頃の芳根さんの躍進だが、決してフロックではなく、当時から確かな実力を持っていた。出世作の“オモコー”は、大好きな女子高生が「歌の力」で学校にミラクルを起こす青春ストーリーで、志尊淳さん、吉本実憂さん、高杉真宙さん、森川葵さん、葵わかなさんらを輩出したことでも有名だが、その中心に芳根さんがいたことは間違いない。
ドラマ自体の評価は高くはなかった印象の「べっぴんさん」でも、芳根さん自身の演技は決して悪くはなく、その後も多くの映画やドラマに主演やヒロイン役で起用されてきたことが証明している。
「べっぴんさん」後に目を向ければ、2018年のフジテレビ系“月9”ドラマ「海月姫(くらげひめ)」でコメディーに初挑戦。そこで開花した新たな才能は、2019年のHTB開局50周年ドラマ「チャンネルはそのまま!」でさらに磨かれ、同作は2019年日本民間放送連盟賞のテレビ部門でグランプリを受賞している。
また、土屋太鳳さんとのダブル主演作「累-かさね-」(2018年)などの演技で、第42回日本アカデミー賞の新人俳優賞も受賞。女性週刊誌の若手編集者に扮(ふん)した2021年のNHKドラマ「半径5メートル」では、毎熊克哉さんとの恋模様を含めて、等身大の働く女性を好演と、「べっぴんさん」の頃に“おままごと”と揶揄(これは芳根さんの演技に向けられた言葉ではないが)されたことも、この頃にはすっかり過去のものとなった。
◇細かな感情表現に瞳の真っすぐさ、他者を幸せにする笑顔
そんな芳根さんの俳優としての魅力は、細かな感情表現で視聴者を引き付け、なんてことのないシーンであったとしても「このキャラクターをもっと見ていたい」と思わせるところ。これは10年前の“オモコー”のときから変わらずで、今年放送の「まどか26歳、研修医やってます!」や「波うららかに、めおと日和」でも随所で感じられた。
加えて、瞳の真っすぐさも魅力の一つ。そのピュアさ加減が転じて、「可愛い」や「愛らしい」役だけじゃない、狂気的な役にもずっぽりとハマったりもする。
また持ち前の、他者を幸せにするような笑顔と親しみやすさは、映像作品以外でも大いに発揮され、芳根さんの素の姿を収めたYouTubeチャンネル「芳根京子の〈生〉旅」は、1本の動画が100万再生を超えることもある人気コンテンツになっている。
確かな演技力と高い好感度の両輪で活躍続く芳根さん。「波うららかに、めおと日和」のような新たな代表作と巡り合い、それがより顕著となった2025年を経て、2026年以降はどんな姿、表情を見せてくれるのか、いまから楽しみだ。