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「うる星やつら」「めぞん一刻」などで知られる高橋留美子さんの大ヒットマンガ「らんま1/2」の“完全新作的アニメ”が、10月から日本テレビで毎週土曜深夜0時55分に放送されていることが話題になっている。同作は、1989~92年にテレビアニメが放送されており、テレビアニメ化されるのは約32年ぶり。原作は、1987~96年にマンガ誌「週刊少年サンデー」(小学館)で連載された。連載が始まった1987年はどんな時代だったのだろうか? “あの頃”を振り返る。
◇「サラダ記念日」がベストセラーに 伝説の「王立宇宙軍 オネアミスの翼」公開
「らんま1/2」は、水をかぶると女性になってしまう高校生格闘家・早乙女乱馬といいなずけの天道あかねらのドタバタした日常が描かれた。テレビアニメが放送されたほか、劇場版アニメやOVA(オリジナル・ビデオ・アニメ)も制作された。新垣結衣さん、賀来賢人さん、夏菜さんらが出演する実写版テレビドラマが2011年12月に放送されたことも話題になった。約32年ぶりとなった新作アニメは、早乙女乱馬役の山口勝平さん、らんま役の林原めぐみさん、天道あかね役の日髙のり子さんら声優陣が続投することも話題になっている。
「らんま1/2」の連載が始まった1987年の日本は、バブル景気の真っ只中だった。俵万智さんの「サラダ記念日」、村上春樹さんの「ノルウェイの森」がベストセラーとなり、伊丹十三監督の映画「マルサの女」がヒットした。NHK大河ドラマ歴代最高の平均視聴率39.7%を記録した「独眼竜政宗」も放送された。
「機甲戦記ドラグナー」「シティーハンター」「きまぐれオレンジ☆ロード」「ミスター味っ子」「ビックリマン」などのテレビアニメもスタートした。ゲームは「ドラゴンクエストII 悪霊の神々」「ファイナルファンタジー」などやゲーム機・PCエンジンが発売された。
山賀博之さんが監督を務め、貞本義行さんがキャラクターデザインを担当したほか、庵野秀明さん、樋口真嗣さんらが参加するなど豪華クリエーターが作り上げた“伝説”の劇場版アニメ「王立宇宙軍 オネアミスの翼」が公開されたのも1987年だ。彼らはその後、「トップをねらえ!」「ふしぎの海のナディア」「新世紀エヴァンゲリオン」などアニメ史に残る名作を生み出すことになる。
◇「動物のお医者さん」「まじっく快斗」も1987年
高橋さんは1978年にスタートした「うる星やつら」の連載を1987年に終え、同年に「らんま1/2」をスタートした。「めぞん一刻」も1987年に連載を終了している。当時、「サンデー」では、1981~86年に連載されたあだち充さんの「タッチ」は終了しており、1987年に「ラフ」の連載をスタートする。原秀則さんの「ジャストミート」、中原裕さんの「ぶっちぎり」、克・亜樹さんの「はっぴい直前」、島本和彦さんの「とつげきウルフ」などが連載中だった。青山剛昌さんの「まじっく快斗」が初めて同誌に掲載されたのも1987年だった。
1988年には、ゆうきまさみさんの「機動警察パトレイバー」、青山さんの「YAIBA」の連載が始まる。今年は、「機動警察パトレイバー」の新作アニメ「機動警察パトレイバー EZY(イズィー)」が2026年にプロジェクトを始動し、「YAIBA」の新作アニメが制作されることが発表されたことも話題になっている。
1987年に他誌で始まったマンガとして「動物のお医者さん」「3×3EYES(サザンアイズ)」「ダッシュ!四駆郎」などがある。
◇高橋留美子伝説は続く
高橋さんは1987年に「らんま1/2」だけでなく、「1ポンドの福音」の不定期連載もスタートした。「らんま1/2」の連載が終わった1996年には「犬夜叉」が始まり、2008年まで連載する。「境界のRINNE」を2009~18年に連載し、現在は「MAO」を連載中だ。高橋さんは、1978年に「勝手なやつら」でデビューして以来、第一線で活躍を続け、「天才」「生ける伝説」「神」などと呼ばれることもある。
「うる星やつら」の完全新作テレビアニメが2022年10月~2023年3月、2024年1~6月に放送されるなど高橋さんの作品は時代を超えて愛され続けている。「らんま1/2」も普遍的な魅力にあふれた名作ということもあり、約32年ぶりにテレビアニメが放送されることになったのだろう。