この「シバのおきて~われら犬バカ編集部~ インタビュー」ページは「シバのおきて~われら犬バカ編集部~」のインタビュー記事を掲載しています。
現在放送中のNHKの「ドラマ10『シバのおきて~われら犬バカ編集部~』」(総合、火曜午後10時)で、犬が苦手な編集者・石森玲花を演じている飯豊まりえさん。石森を演じるにあたって髪の毛を40センチカットし、共演した柴犬から「自由に表現していいんだと教えてもらった」と語る飯豊さんが、役作りや愛犬への思いを語った。
◇編集者役の役作りは実体験を参考に
ドラマは、柴犬専門誌「シバONE」を舞台にし、絡まりもつれた人の心を優しく解きほぐしてゆくヒューマンストーリー。片野ゆかさんによるノンフィクション「平成犬バカ編集部」が原作で、柴犬専門誌の編集長・相楽俊一役で大東駿介さんが出演する。
飯豊さんが演じる石森は、サッカー雑誌への配属を希望しているが、入社以来、釣り雑誌を担当。歯にきぬ着せぬ言動でたびたびトラブルを起こすなど、編集部で煙たがられる存在となり辞表を出す。そんな中、社長よりサッカー雑誌配属の条件として、「シバONE」で働くよう求められ、犬が苦手なのに編集部の一員となる。編集長の相楽とは馬が合わず、何かと対立してしまう……というキャラクター。
そんな石森を演じるにあたって「髪の毛を40センチくらい切りました」と明かす飯豊さん。
「石森はフットサルを趣味でやっていて、快活なキャラクターなので、髪の毛が長いと、ちょっとその雰囲気が出ないかなと思っていました。実際の石森のモデルになった方の当時の写真を見たら髪の毛が短かったので、自分の心の切り替えのような感じで、自分から提案して髪の毛を切ることにしたんです。ここまで短いのは初めてなので新鮮でしたね。見た目が変わると意識も変わる気がします」
編集者役を演じるうえで、自身の実体験も役に立ったという。
「私は子供の頃からファッション誌のモデルをしていたので、編集者というお仕事を身近に感じていました。モデルとして編集者の方とずっと関わってきたので、自分が知っている編集者さんを思い出して、イメージを膨らませていきました」
◇“ワンちゃんファースト”の撮影を振り返る
演じる石森は犬が苦手という設定だが、飯豊さん自身は大の犬好き。幼い頃から犬を飼っていて、「私は犬のお尻の穴が可愛くて好きなんです。ワンちゃんによってそれぞれつむじがあって、渦を巻いているのも本当に可愛いです」と目尻を下げる。
撮影現場は常に“ワンちゃんファースト”だったそうで、「撮影期間も夏の暑い時期は外での撮影を避けるようにしていたり、いろいろと考慮して、ワンちゃんの負担にならないように行っていました」と明かす。
「撮影中も台本に書かれていることをそのまま演じるのではなく、これはワンちゃんにとってどうなんだろう? 人間のエゴではないか? と思ったことは、撮影を中断してでも、スタッフやキャストみんなで真剣に話し合いました。とはいえ、原作がある作品なので、実際の雑誌制作の裏側を見せなければいけない。その塩梅(あんばい)が難しいなと思いました」
犬好きのキャストが集まった現場の雰囲気は、とても和やかだったという。
「ワンちゃんが朝現場に入ってきてくれると、みんなで一斉にワンちゃんを囲んだりするんですよ。そういう雰囲気が、共演者との距離を最短で縮めてくれたのかなと思いますね。ピリピリした空気は一切なく、ワンちゃんがカメラの外に出て帰っちゃったとか、そういうところで笑いが起きてNGが出るような現場でした。ワンちゃんの自然な犬らしい動きを見て、改めてお芝居って自由に表現していいんだと教えてもらった感覚でした」
◇愛犬は「味方でいてくれるベストフレンド」
19歳のミニチュアダックスフントを飼っている飯豊さん。愛犬は「どんなときも味方でいてくれるベストフレンド」だ。
「言葉が話せない分、気持ちを感じ取ってくれて、心配もしてくれるし、喜ぶときは一緒に喜んでくれる。信頼してくれて、ずっと揺らがずに味方でいてくれる、まさに家族ですよね。自然と互いに思い合える、かけがえのない尊い存在だなと思います。うちの子は、おいしいものを食べるとき、涙を流しながら食べたりするんです。すごく表情豊かで、見ているだけで心が解放されるような、魔法のような力がありますね」
最後に、ドラマの見どころについて「人間のストレスの9割は人間関係と言われていますが、柴を見ていると素直でいいんだなと思えるんです。“柴のふり見て我がふり直せ”じゃないですけど、それが伝わるドラマになっているんじゃないかなと思います」とアピール。
「私はワンちゃんの存在で人生が豊かになっている人間の一人なんですけど、犬好きの人はもちろん、ワンちゃんが人生にいなかった人にも、マイペースな柴犬を見て、『もっと自由でいいんだ』と感じてもらえるんじゃないかなと思っています。人間が思うように柴犬が動かないところも、面白いところの一つですので、ぜひ楽しんでいただけたらうれしいです」