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福山雅治:“ダークヒーロー”神尾武史について熱く語る

映画「ブラック・ショーマン」主演の福山雅治さん

 福山雅治さんが主演する映画「ブラック・ショーマン」(田中亮監督)が公開中だ。東野圭吾さんの小説が原作で、福山さんは米ラスベガスで活躍した元・超一流のマジシャン、神尾武史を演じている。武史は、兄で元中学校教師の神尾英一(仲村トオルさん)が殺された事件を姪(めい)の真世(有村架純さん)とバディーを組んで真相を探っていく。東野さんが生み出した新たな“ダークヒーロー”神尾武史について、福山さんが熱く語った。

 ◇“ダークヒーロー”のイメージをかき集めてキャラクターを造形

 「“ダークヒーロー”って、調べていったら、和製英語だということが分かりました。海外では“アンチヒーロー”だそうで、日本特有の言葉なのに、なぜこんなにダークヒーローという言葉がこの役にしっくりくるんだろう?と、自分なりに解釈していきました」

 福山さんはこう切り出した。今作では「ダークヒーロー」という言葉が一つのキーワードになっていたため、「改めて自分の中で定義し整理したいと思った」という。

 福山さんが子どもの頃に見たダークヒーローと言えば、「鼠(ねずみ)小僧次郎吉」「座頭市」「必殺仕置人」などなど。

 「彼らは自分だけのルールを持ち、時に手段を選ばず弱きを助け強きをくじく、というイメージ。義侠心を持つ侠客系のキャラクター。一方で、ゴルゴ13的な、正義や悪という明確な棲(す)み分けは無く、受けたオファーに対しデューク東郷自身のルールで動き、ほぼ100%に近い結果を残し報酬を得る、という徹底した成果主義の人間。それらをかき集めて神尾武史というキャラクターを積み上げてみました」

 それでは神尾武史を突き動かす“義”とは?

「今回の物語は、殺されたのが武史の実の兄なので。でも、その行動原理だけで武史を作っていくと割とわかりやすい人になってしまう。そもそも刑事事件ですから警察に任せるべきなんです。でも、そういうものを一切すっ飛ばして、武史は事件の真相へと向かう。その行動原理は台本には書いてありませんが、武史の犯人に対する“激しい怒りと深い憎しみ”なのでは。警察に任せたままではスピードも遅いし、もしかしたら真犯人を捕まえられないかもしれない。武史は犯人に対する怒りと憎しみという本能的な感情をベースに、あくまでも論理的に真相の解明に感情に引きずられずに動いていく。後に吐露される兄貴に対する感謝の気持ち。自分がこうして自分だけのルールで生きていられるのは兄貴のお陰だという気持ちがある。真実を最短で見つけ出し、自分の手で最速に鋭利に裁きたいという気持ちなんだと思います」

 ◇原作はすでにシリーズ化 再び神尾武史を演じるとしたら?

 原作の「ブラック・ショーマン」はすでにシリーズ化されており、今回は1作目の「ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人」を映画化。シリーズ2作目の連作短編集「ブラック・ショーマンと覚醒する女たち」が2024年に刊行されている。とすれば同じ東野さん原作の「ガリレオ」シリーズのように映画やドラマでシリーズ化されることは十分考えられる。

 福山さんに「再び神尾武史を演じてみたいか」と尋ねると、「もちろんです。ただそれは、ご覧になった方のお気持ちにすべてかかっています」と含みを持たせた。

 福山さんが考える武史の魅力は……。「まだ僕もつかみ切れていません」とキャラクターをいまだ造形中というが、「僕の中では今のところ、武史は世間一般が判断する正しさや悪には関心が無いのかもしれないのではと。武史なりの善悪の設定はあるでしょうが、自分のルールの中で生きて、金にはシビアで、だからといって、豪遊したいという感じではなくて。自分の価値に億単位の評価をしろ、なぜなら自分は人ができないことをやっているから。そういうことかなと思ってるんですが」と語る。

 「もし」と仮定して、今後、武史を演じることがあれば「一貫として『金で動く人』というのがベースかと」と想像を巡らしていた。

 武史はマジシャンで、撮影期間はコインを肌身離さず持ち、練習に余念がなかったという福山さん。

 「コインロールはずっとやってないとできなくなってしまうので。今回は、カード(トランプ)まではやれてないので、もし次があるなら、カードの練習が必要でしょうね」

 ◇謎解きミステリーに社会課題が横たわっている

 最後に今作の見どころを聞いた。

 「今作はミステリーという謎解きの根底に社会課題が横たわっています。地域経済の変化によって起こる複雑な人間関係。経済の構造が変わると人間同士の暗部があぶり出されてくる。舞台となる『名もなき町』は、そういう状況にあると思います」と説明する。

 続けて、「今作はそんな現実をリアルに描きながらエンターテインメントとして昇華しています、これって“自分の町”のことかも、自分そのものかも。自分事としてとらえてもらえるといいかなと思います」とメッセージを送る。

 さらに「何より、マジックを配置しながら物語を展開させていくところが斬新かと。フッシュ的にちりばめられているハンドマジックが、本でいうページをめくる第1章、第2章、第3章のような扉や締めになっているので楽しんでほしいです。クライマックスの謎解きのシーンも、真犯人を追い詰める決定打になるところはアナログなマジックです。その仕掛けは、この映画の魅力が凝縮されたシーンだと思います。ぜひとも楽しんでください」と呼びかけた。

 映画は、東野さんの小説「ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人」(光文社文庫)が原作。「コンフィデンスマンJP」シリーズや「イチケイのカラス」シリーズなど手がけた田中亮監督がメガホンをとった。元中学校教師の神尾英一(仲村さん)が何者かに殺され、2カ月後に結婚を控えていた娘の神尾真世(有村さん)は突然の訃報を受け、実家のある町に戻る。英一はなぜ殺されたのか、真実を知りたいと願う真世の前に現れたのは叔父の神尾武史(福山さん)。卓越したマジックに手癖の悪さと、メンタリスト級の巧みな人間観察&誘導尋問を武器に殺人事件の謎に挑む……というストーリー。

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