河出書房新社大阪中之島美術館で2026年8月21日~9月27日に「フェルメール《真珠の耳飾りの少女》展」が開催!

株式会社河出書房新社(東京都新宿区/代表取締役 小野寺優)は、千足伸行監修『なるほどフェルメール』(税込定価1,100円)を、河出文庫から2026年6月8日に発売いたします。
17世紀のオランダが生んだ巨匠フェルメール。
その代表作のひとつ《真珠の耳飾りの少女》が今夏、日本にやってきます。
《真珠の耳飾りの少女》はオランダ・ハーグのマウリッツハイス美術館が所蔵しており、原則として「門外不出」。しかし、同館が改修工事のために臨時休館することから今回の来日が実現しました。東京・大阪で約120万人が来場した、2012年の「マウリッツハイス美術館展」以来、14年ぶりとなります。
館長のマルティネ・ゴッセリンク氏は、「当館にとって、この『少女』の旅は、日本の皆さまに彼女を送り届けられる、おそらくは最後となるであろう特別な機会です。」とコメントしています。
本書は現存するフェルメールの作品35点をカラーで収載。
《牛乳を注ぐ女》《ワイングラス》《恋文》…など、数多の名画の秘密をやさしく、わかりやすく解説します。柔らかな光に包まれた静かな日常を魔法のような筆致で描いた彼は、自画像すら残さず、その素顔は謎に包まれています。
なぜ、私たちはこの画家に惹かれるのか?
そして、作品の凄みや画面に隠されたトリック、数々の盗難や修復に翻弄された受難の歴史とは?
その秘密を解き明かす『なるほどフェルメール』の発売に、ぜひご注目ください!
作品と画家の魅力にせまる──
本書「はじめに」より
オランダと聞いて思い浮かぶのは風車、チューリップ、土産物として人気の高いデルフト焼、それに歴史的な関わりでいえば長崎の出島、つまり、鎖国時代に唯一出入りを許された国としてのオランダあたりであろうか。
それまではスペイン(ハプスブルク家)の支配下にあったオランダが、長く苦しい闘いを経て国際的に正式に独立を勝ち得たのが1648年、三代将軍・徳川家光の時代である。
世界初の株式会社といわれる東インド会社を設立して世界に雄飛し、今日でいうGDP(国内総生産)でも、おそらくヨーロッパでナンバーワンの地位を築いたオランダの栄光を今に伝えるのが17世紀のオランダ絵画であり、この黄金時代の頂点に君臨していたのがレンブラントである。
一にレンブラント、二にレンブラント、三、四がなくて五にレンブラントという時代が長く続いたが、風向きが変わったのが19世紀の半ばである。地元のオランダではなく、フランスのある有能な美術批評家、目利きがフェルメールの生涯と作品を丹念に跡づけて、彼の本来の姿を明らかにしたのである。以来、レンブラント独走の時代は終わり、フェルメールは今やレンブラントと双璧をなす画家として世界中の注目を集めている。
フェルメールが43年の生涯に残した作品はわずか35点前後、失われた作品を考慮しても50点を超えるかどうか、といったところである。彼が青と黄色を愛した画家であることは(まだ彼が今のように注目されていなかった時代に)ゴッホがすでに気づいていたが、ひと口に青といっても、《牛乳を注ぐ女》における青と、《真珠の耳飾りの少女》のターバンの青との微妙な違いは、フェルメールならではである。
フェルメールはまた「光の画家」ともいわれるが、彼が描いたのは、しばしばいわれるような、フランス印象派のまばゆい戸外の光ではなく、といって、バロック好みの明暗の強烈なコントラストの利いた光でもなく、曇りガラスで濾過されたような穏やかな、ほとんど熱を感じさせない光である。フェルメールのどの作品についても感じられる静謐な心和む世界は、こうしたオランダ特有の「北の光」に負う部分も少なくないのである。
1――あの名画をキーワードから読みとく~見どころや謎など、厳選の12作品を解説
No.1《牛乳を注ぐ女》/No.2《手紙を書く婦人と召使い》/No.3《ワイングラス》/No.4《マリアとマルタの家のキリスト》/No.5《手紙を書く女》/No.6《リュートを調弦する女》/No.7《真珠の首飾りの女》/No.8《赤い帽子の娘》/No.9《恋文》/No.10《真珠の耳飾りの少女》/No.11《デルフトの眺望》/No.12《絵画芸術》
2――画面に隠されたトリックに驚く~技法やモチーフに込められた意味とは
遠近法1.──カンヴァスに残るピンの跡が示すもの
遠近法2.──セオリーからあえて逸脱したわけ
カメラ・オブスキュラ── 本当に「カメラの前身」を使っていたのか?
光の表現1.── 穏やかで静謐な光の秘密とは
光の表現2.── 実際にはない光を描いて視線を誘導した
フェルメール・ブルー── 独特の「青」の驚くべき使い方とは
科学調査── 画家の試行錯誤の跡が明らかに
画中画── 込められた意図を知る手がかりに
寓意──《天秤を持つ女》は何を量っているのか?
モチーフ──ターバン、ガウン、地図…から見えてくる時代や風俗
ファッション── 女性の流行にも敏感だった?
手紙──フェルメール以外の画家も、多く「手紙画」を描いたわけ
トローニー──《真珠の耳飾りの少女》が「肖像画」ではないとされる理由
子ども── 人気のテーマだったのに、ほとんど描かなかった
画のモデル──《天文学者》と《地理学者》のモデルは同一人物?
《小路》のモデル── 実際にあった近所の風景を描いた?
作風の変化──「らしい」作風を捨てたのは、腕が衰えたせいだって?!
修復──その過程で発見されたものが絵の解釈を変えることも
3――謎多き画家の素顔をのぞき見る~活躍した時代の背景から結婚生活、金銭事情まで
フェルメールが活躍した17世紀のオランダとは
じつは”極狭”だった生活エリア
フェルメールの画の師匠は誰だったか
同時代に活躍したオランダの画家たち
誰も知らない本当の顔
「歴史画」から「風俗画」へ転向
じつはスピード出世していた!
なぜ200年もの間、忘れられていた?
フェルメールを支えたパトロンの存在
無職同然の身で「逆玉婚」をしていたって?!
結婚後は”マスオさん状態”
宿屋の主、画商…いくつも副業をこなしたわけ
生前から評価されていたのに寡作だったのは?
働き盛りの43歳で死去。その原因は?
フェルメール家の意外な台所事情
4――フェルメール作品を襲った事件にせまる~真作論争、盗難、贋作騒ぎ…事実は小説より奇なり
今後、幻の作品が”発見”される可能性は?
真作?非真作?いまだに論争が結着しないわけ
オークションでついた値は32億円!
何度も盗まれ、人質にされたフェルメール作品
《恋文》を襲った二重のショック── 事件ファイル1.
IRAが関わった?!《ギターを弾く女》の受難── 事件ファイル2.
2度盗まれた《手紙を書く婦人と召使い》── 事件ファイル3.
30年近く行方不明の《合奏》── 事件ファイル4.
《牛乳を注ぐ女》を守れ!── 事件ファイル5.
専門家も騙された! 世紀の贋作を描いた男── 事件ファイル6.
ナチス・ドイツの標的に── 事件ファイル7.
《牛乳を注ぐ女》のフェルメール・ブルー
《ワイングラス》小物に託された寓意
《カメラ・オブスキュラ》フェルメールの写実性
千足伸行 せんぞく・のぶゆき
美術評論家。1940年、東京生まれ。東京大学文学部卒。TBS(東京放送)を経て国立西洋美術館に勤務。70~72年、西ドイツ(当時)政府給費留学生としてドイツに留学し、ミュンヘン大学で主にドイツ・ルネサンス美術を学ぶ。帰国後、西洋美術館に復帰。79年より成城大学文芸学部に助教授として勤務、86年に教授となる。専門はヨーロッパの近代美術、とくに世紀末芸術。現在は
同大学名誉教授で、広島県立美術館長を務める。

書名:なるほどフェルメール
監修者:千足伸行
仕様:文庫判/並製/208ページ
発売日:2026年6月8日
税込定価:1100円(本体1000円)
ISBN:978-4-309-42275-6
装丁:こやまたかこ
URL:
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309422756/
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