「AKIRA」などで知られるマンガ家・大友克洋さんの初の原画展「大友克洋GENGA展」のアートディレクターを務める佐藤直樹さんが22日、デジタルハリウッド大学・秋葉原メーンキャンパス(東京都千代田区)で公開講座を開いた。佐藤さんは、原画展が開催された経緯について、作家の山下卓さんが酒席で大友さんに「原画が見たい」と話したことがきっかけだったことを明かし、「大友さんは常に前に進み、振り返ることはあまりしないので、最初は嫌がったけど……。宮城県出身の大友さんが東日本大震災が起こり、やれることがないか?という思いがあり、実現した」と当時を振り返った。
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「大友克洋GENGA展」では、約2300枚にもおよぶ「AKIRA」の全原画のほか「童夢」「気分はもう戦争」「さよならにっぽん」など代表作や、画集「KABA」「KABA2」の原画約3000枚を展示。「AKIRA」のキャラクター・金田の“バイク”や「童夢」の一場面を再現した“へこんでいる壁”などの展示物も用意されている。収益の一部は被災地の復興支援活動に利用される。佐藤さんは、雑誌「WIRED 日本版」「composite」を手がけてきたアートディレクターで、公開講座ではクリエーターを目指すデジタルハリウッド大学の学生などが聴講した。
佐藤さんは大友作品の魅力を「これまでのマンガの文法を変えた。マンガは表現を省略してきたが、大友さんは(作品に描く)情報を増やすという逆のベクトルのことをやってきた」と語り、「AKIRA」の全原画を展示したことを「これだけの物量がないと、成立しないマンガを描いていることを表現したかった」と説明。金田の“バイク”について「バイクは博多から乗って、(会場まで)走ってきました」と明かし、“へこんでいる壁”などを展示できたことを「展示に関わった人に(大友さんに対する)リスペクトがあって、その心意気にほれて、作ってくれる人がいたからできた」と話した。
また、佐藤さんは「大友さんの原画は展示してみると唯一無二なものであることを再確認できた。まだまだ発見されていないことがあるので、皆さんもそれを見てください。アナログなものだからといって(デジタル系クリエーターには)関係ないわけではない。(一般的な)美術展では思いつかないことをやった。ここにしかないものがあります」と聴講生に呼びかけていた。「大友克洋GENGA展」は「3331 Arts Chiyoda」(東京都千代田区)で30日まで開催。(毎日新聞デジタル)
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