話題のマンガの魅力を担当編集が語る「マンガ質問状」。今回は、ロードレースに青春をかける少年たちの姿を描いた渡辺航さんのマンガ「弱虫ペダル」です。「週刊少年チャンピオン」(秋田書店)編集部の武川新吾さんに作品の魅力を聞きました。
ウナギノボリ
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−−この作品の魅力は?
大好きなカプセルトイ代を捻出するために電車賃を節約し、千葉の自宅から秋葉原まで往復90キロの道のりをママチャリで通う、オタク男子高校生・小野田坂道が、自転車ロードレースと出合い、仲間と共にインターハイ優勝を目指す物語です。
必死にペダルを回す坂道のひたむきな姿と今泉、鳴子ら同級生キャラ、金城、巻島、田所ら先輩キャラとの熱い絆に注目してください。担当の私も、坂道が一心不乱にペダルを回すことで自分の可能性を切りひらいていくさまに勇気と活力をもらっています。
−−作品が生まれたきっかけは?
作者の渡辺航先生に週刊少年チャンピオンでの連載をお願いする際に、雑談の中、何かハマっているものがあるかという質問をしたところ、ロードバイクという返答がありました。実際に乗られているロードバイクの楽しさを少年のようにイキイキと語る渡辺先生の姿を見て、自転車ロードレースというジャンルをお願いしました。週刊連載をこなす現在も、渡辺先生は年間約5000キロをロードバイクで走っています。少年のようにイキイキと。
ちなみに、1話目の第1稿ネーム(マンガの下書き)の主人公は、坂道ではなくカワイイ女子でした。週刊少年チャンピオンが少年マンガ雑誌という理由もあり、主人公は小野田坂道という男の子になりましたが。
−−編集者として作品を担当して、今だから笑えるけれど当時は大変だった……、もしくはクスッとしたナイショのエピソードを教えてください。
渡辺先生は、登場人物だけではなく道路もキャラクターと考えておりますので、普段からコースをイメージした道路の取材をしております。ロードレースの本場の山岳ステージを取材するため、10年のツール・ド・フランスに行った際に、ピレネー山脈のツールマレー峠の山頂ゴール付近で半日、極寒の雨の中、選手たちが来るのを渡辺先生と待ち続けたことがありました。正直、しんどかった。お互い無言。寒さで気が遠くなりました(笑い)。取材はかなり行っている作品なので、道路の迫力、選手の生々しさなど作中の随所に生かされていると思います。
−−今後の展開、読者へ一言お願いします。
インターハイも最終局面となり、富士山を登る小野田坂道とライバルの真波山岳のゴール争いは、「弱虫ペダル」史上、最も熱い名勝負と言えるものになると思います。2人のクライマー魂が激突する勝負の行方にご期待ください。
今夏、そして来年へと作品世界は新たな広がりに向けて動き出しております。16日発売の週刊少年チャンピオンNo.38から「弱虫ペダル SPARE BIKE」という新作を本編とあわせて渡辺先生がダブル連載いたします。今年2月に好評いただいた舞台の新作も制作が決定いたしました。
渡辺先生と共に走り続け、更に熱くなる本作品を何卒よろしくお願いいたします。
週刊少年チャンピオン編集部 武川新吾
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