Hilcrhyme:新曲に「お互い必要なピースまたは人生はジグソーパズルという意味を込めた」

ニューシングル「ジグソーパズル」について語ったHilcrhymeのDJ KATSUさんとTOCさん(右)
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ニューシングル「ジグソーパズル」について語ったHilcrhymeのDJ KATSUさんとTOCさん(右)

 新潟県出身、在住の「DJ KATSU」(カツ)さんと「TOC」(トク)さんのラップユニット「Hilcrhyme(ヒルクライム)」が、ニューシングル「ジグソーパズル」を先ごろリリースした。「春夏秋冬」のヒットから約3年。ますます楽曲作りに意欲をみせる2人に、これまでの活動や新作について聞いた。(水白京/毎日新聞デジタル)

ウナギノボリ

 −−そもそもクラブシーンやヒップホップに興味を持ったきっかけは?

 TOCさん:大学の学園祭で先輩たちがクラブ形式のイベントをやってたんですよ。そこで、DJが(レコード盤を)回してラッパーが歌ってっていうのを目の当たりにして、衝撃を受けたんです。高校の部活で剣道をやってたんですけど、寮にも入っていたし、遊びに行くこともできないくらい厳しい部活で。そういうギャップもあったと思うんですけど、剣道は大学に入って辞めちゃったんで、剣道に代わって打ち込めるものを探していたときに出合った感じですね。

 DJ KATSUさん:高校時代のバイト先の先輩がヒップホップを聴いていて、それでヒップホップやテクノを聴き始めて、卒業くらいのときからクラブに行き始めたんです。そんな中、その先輩がオーストラリアに行くっていうので、「もう要らないから、DJターンテーブルを安く売ってあげるよ」って言われて、それがきっかけでレコードを買うようになって。単純にクラブでお酒を飲みながら騒ぐっていうのが居心地よかったし、そこでDJがいかに客を踊らせるか、みたいな世界観に引かれましたね。

 −−デビューして2枚目のシングル「春夏秋冬」がいきなりヒットしたわけですが、それを実感する出来事はありましたか?

 TOCさん:昼間、小さい子供に「Hilcrhymeのお兄ちゃんだ」って言われたりっていうのはすごく新鮮でしたね。老若男女に届けたいからっていうのでメジャーにいって、実際に子供にも声をかけられるようになるっていうのはホントに幸せなことですよね。

 −−生活面ではどうですか? 例えば、新幹線などの移動手段や食事のグレードが上がったとか。

 DJ KATSUさん:グリーン車に乗ったのはこの3年間で1回か2回ですかね(笑い)。

 TOCさん:(「春夏秋冬」のヒット後というより)メジャーデビューして一番ビビッたのは、(スタッフが)お金出してくれるしご飯もおごってくれるし。「なんでだろう。だまされてるのかな」って(笑い)。焼き肉屋に連れってってもらったとき、“焼き肉食べ放題1500円”みたいなのが当時の自分たちの主流だったけど、一皿1000~2000円の肉がバンバン出てきて、会計は払わなくていいっていうし。それは当時のマネジメント会社だったんですけど、「BECK」というマンガの中に同じようなシーンがあって、レコード会社の人が高い店に連れて行ってくれて、メシ代も出してくれる、みたいな。あれってリアルなんだって思いました(笑い)。

 −−なるほど(笑い)。では新曲「ジグソーパズル」についてお聞きしたいのですが、この曲はジグソーパズルをモチーフに男女の愛情を描いたラブソングですね。

 TOCさん:ダブルミーニングみたいなとらえ方をされたらいいなと思ったんです。ジグソーパズルをする男女っていうのと、その男女が、その相手じゃないとピッタリ当てはまらないお互い必要なピース、もしくは出来上がった絵がその2人でした、みたいな。例えば“出産”とか“(生まれた子供が)小学校入学”というピースがあって、完成したときは“老後”っていうような、“人生はジグソーパズル”という意味合いもありますね。

 DJ KATSUさん:トラックは、ワンコーラスだけみてもけっこうコード的にはいろんな流れがあるんですけど、それを3番でガラッと雰囲気を変えて1回静かになって、その後にものすごくクラブチックなリズムになったりとか。1曲の中でそういう変化を作れたと思っていて、歌詞ともリンクしていいかなと思ってます。

 −−歌詞は、自分が持っていないものを相手が持っていたりと、“違う面を持つ2人”という設定ですが、逆に、女性に対して、ここだけは折り合わないとダメ、というものはありますか?

 DJ KATSUさん:ここ数年間、ここまで本気になれるような恋愛がなさすぎて、今までどうだったか……(苦笑)。ただ、車がけっこう好きなんですけど、俺の運転に対してそれが合わない相手はムリかなと思うことはあります。例えば、普通に安全運転で曲がってるのに「なんでそんなに急いで曲がるの」とか、ちょっとでもスピードが出たら「ダメダメ」とか。そういうときに「コイツとはたぶんムリだな」と思ったことはあります。

 TOCさん:僕は音楽さえやらしてくれればそれでいいです。

 −−では、最後になりますが、今も地元・新潟に拠点を置いている理由、新潟の魅力を教えてください。

 DJ KATSUさん:新幹線なら2時間で東京に行けるし、それが絶妙な距離でもあって。新潟在住ってところにみんなすごく注目するんですけど、単純に地元が好きだし、それが自然かなって。

 TOCさん:広大な田んぼが広がっていて、それを見るたびに「やっぱいいな」って。新潟にいるからこそできる曲っていうのもあると思いますしね。

 <プロフィル>

 05年、DJ KATSUさん(1979年11月17日生まれ)とTOCさん(1981年10月4日生まれ)で活動を開始。09年7月にシングル「純也と真菜実」でメジャーデビュー。同年9月にセカンドシングル「春夏秋冬」をリリース。初めてハマッたポップカルチャーは、DJ KATSUさんが「ファミコン(ドラゴンクエスト3)」、TOCさんが「週刊少年ジャンプ」(集英社)。DJ KATSUさんは「すぎやまこういちさんという作曲家の人がドラクエの音楽をやっていたんですけど、そこが音楽の最初の入り口だったかも。最初に買った音楽ソフトが、ドラクエの(曲の)カセットテープでした」、TOCさんは「毎週火曜日になると週刊少年ジャンプが家に届くんですけど(現在は月曜日発売)、30年くらい変わらず今も買ってます」と話した。

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