1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦めマンガを紹介する「はじめの1巻」。今回は、「漫画アクション」(双葉社)で連載、高原の町に暮らす27歳・無職の叔父と、10歳のめいの交流を描いたイトカツさんのマンガ「銀(しろがね)のニーナ」です。
ウナギノボリ
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1年前に失業し、実家のある高原の町へ戻った志摩崎修太郎。実家のリビングのドアを開けると、そこには見たことのない銀の髪と蒼(あお)い瞳の少女がいた。少女はフィンランド人男性と結婚した姉の娘・ニーナで、海外を飛び回る姉の都合でしばらく実家に預けられることになったばかり。忙しい父母に代わって、無職の修太郎はニーナの面倒を見ることになる。
「漫画アクションに掲載されている作品には見えないよね」
単行本になる前から社内外でしばしばこう言われました。私はこれをほめ言葉ととらえていました。してやったりという感じでしょうか。もともと「父性を刺激する」というのもコンセプトの一つです。十分受け入れられてうれしく思っています。
連載を始める前から「とにかくニーナは可愛く描こう」という方針で臨んでいますが、ただ可愛いだけでは作品の厚みや深みがなくなってしまう危惧もあります。一方で最も注力すべきものを見失うことはより望ましくありません。このあたりのバランスには気を付けようと打ち合わせの度にイトカツ先生と話し合っています。やっぱり「可愛いは正義」ですから。食事のシーン多めはこれからも続く気がします。
春先にはイトカツ先生と長野県軽井沢町から群馬県長野原町、嬬恋村までロケハンを行いました。季節の移り変わり、美しい風景などを描くこともこの作品の目標の一つです。寒さが緩くなったら、また取材に訪れる予定です。
作中はまだ夏のままですが、ゆっくりと、少しずつ時間は流れていきます。ニーナに癒やされ、日本の風景や文化の素晴らしさを感じていただけるよう、今後も頑張っていきたいと思います。あと「銀」は「しろがね」と読みますのでそちらもよろしくお願いいたします。
はじめは多少いやいやながらにニーナのお守りをしていたシュータロー(修太郎)。二人の間に少しずつ絆ができていく様子がほほえましいです。ニーナとの曇りのない会話の中で、癒やされたり、人生を見つめ直したりすることになるシュータローの姿が自分と重なる方も多いのでは? 物わかりがいいようで意外と子供らしいワガママも発揮するニーナがとてもキュート。おいしいものを食べた時の笑顔も愛らしくて、何でも食べさせてあげたくなります。ほのぼの、まったり、そんな雰囲気のマンガが好きな方にぴったりの作品です。
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