WOWOWでは、1982~83年に放送された人気アニメ「超時空要塞マクロス」の30周年を記念し、テレビアニメシリーズ全36話と、84年公開の劇場版「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」のハイビジョン版を12日からテレビ初放送する。劇中で活躍する可変戦闘機「バルキリー」の生みの親で、石黒昇監督と共同で劇場版を手がけた河森正治監督が制作当時について語った。
ウナギノボリ
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「超時空要塞マクロス」の放送が始まった82年、まだ22歳だった河森監督は、脚本、絵コンテ、演出、作画とアニメ作りに携わり、24歳で劇場版の監督に抜てきされた。以降も「マクロス」シリーズには欠かせない人物となった。約30年前を振り返って河森監督は「当時は人生の半分以上、『マクロス』に関わるなんて、夢にも思わなかったですよ。リマスターなどで何年かに一度、必ず見る機会があるだけに、遠い昔のような気もするし、ついこの間のようでもあり。なんだか不思議な感じですね。今、自分なりに新しいことに挑戦できるようになる原点になった作品ですし、いろんな人に助けてもらってできた作品でもあるので、感慨深いですね」としみじみと話す。
歌とアニメ作品を関連付けるのは今では当たり前の手法となったが「マクロス」はその先駆け。巨大異星人との星間戦争を、アイドル歌手の「歌」が終結に導くという設定は画期的だったが、河森監督は「テレビアニメで歌手を出して(登場させて)作画するのが、どれだけ大変か分かっていないからこそできたんですね。若気の至りですよ」と笑顔で振り返る。また「戦闘中に歌うこともずいぶん反発を受けましたが、『愛は流れる』(27話)以後、見ていた人の意見が反転したんです。それは印象的でしたね。主役で声優もやり、歌も歌うという初めての経験に、前向きにチャレンジしている飯島真理さんの懸命な姿も印象に残っています」とエピソードを明かした。
30年間の時代の変化について話が及ぶと、「今はインターネットが普通になり、コミュニケーションも間接的になっている時代です。その分、ライブコンサートが盛んになるなど、生で直接触れたいという要求がもう1回高まっていると思います」と話し、さらに「アニメというバーチャルな媒体に、どうやれば生身の感覚を持ちこめるか。試行錯誤しています。その結果、錬金術的に意味が変わるようなことを起こせれば、白か黒か、つまらない二元論以外の何かができる。そこに人間が加わる意味もあるだろうと思っています」と持論を展開した。
「超時空要塞マクロス」テレビアニメシリーズは、12~16日午後7時、9月8日午後3時半にWOWOWプライムで放送。劇場版「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」は、9月14日午後8時にWOWOWプライムで放送。なお、東京・渋谷にあるコミュニケーションスペース「WOWOW渋谷ステーション」では、13日~9月29日に「マクロス」シリーズの魅了を伝える展示イベントも開催。パネルやジオラマ・プラモデルの展示に加え「超時空要塞マクロス」第1話の上映も行われる。(毎日新聞デジタル)
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