これまでにないキュートなゾンビ映画「ウォーム・ボディーズ」(ジョナサン・レビン監督)が21日、公開された。なんとゾンビが、人間の女の子に一目ぼれしてしまう。ゾンビ男子を演じるのは、「ジャックと天空の巨人」(2013年)で主演したニコラス・ホルトさん。ゾンビの恋のお相手の父親役はジョン・マルコビッチさん。ゾンビの気持ちを新旧の洋楽が彩る。大ヒット作「50/50」(11年)のレビン監督の最新作で脚本も手掛けた。
ウナギノボリ
10年前の朝ドラ「花子とアン」 当時の吉高由里子インタビュー
近未来が舞台。謎のウイルスの影響で人間が死滅して、ゾンビがあふれている。人間はゾンビと敵対し、高い壁を作って身を守り、武装して暮らしていた。ゾンビ男子R(ホルトさん)は、空港の旅客機内で暮らしている。なぜ死んだのか、自分の名前さえ思い出せない。ある日、人間を襲撃中のRは、ショットガンを構えて戦う女の子ジュリー(テリーサ・パーマーさん)に一目ぼれ。ほかのゾンビに襲われそうになったジュリーを助けてしまう。最初はRを恐れていたジュリーだったが、純粋な彼に心を開き始める……という展開。
ゾンビ男子Rが恋を知ることで、温かな心を取り戻していくさまがコミカルに描かれる。動きものろく、不器用なゾンビの恋心が可愛い。その仕草から「人とつながりたい」という思いがいじらしいほど伝わってくる。「ゾンビVS人間」といった図式が、ゾンビの進化系の“ガイコツ”という第三の存在によってどうなっていくのかも物語のカギとなる。自分にウンザリしているゾンビ男子Rを見ていると、ゾンビは「人間らしさを感じることなく生きている人」の象徴なのかもしれないと思えてくる。ポップで、笑えてせつなさもある人間賛歌。原題のままのタイトルが分かりにくいのが、ちょっと残念。シネクイント(東京都渋谷区)、新宿武蔵野館(東京都新宿区)ほか全国で公開中。(キョーコ/毎日新聞デジタル)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、闘病をきっかけに、単館映画館通いの20代を思い出して、映画を見まくろうと決心。映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。
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