人気ロボットアニメ「マクロス」シリーズの「マクロスプラス」と「マクロス7」のOVA版と劇場版アニメが、WOWOWで20日から約2カ月にわたって放送される。2作が誕生20周年を迎えたことを記念した企画で、放送を前に同シリーズを手がけた河森正治監督に制作秘話を聞いた。
ウナギノボリ
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「マクロスプラス」と「マクロス7」は90年代に並行して企画されたアニメ。「プラス」は、ロボットに変形する戦闘機・バルキリーの開発競争を背景に、テストパイロットのイサム・ダイソン、ガルド・ゴア・ボーマンとバーチャルアイドルの女性プロデューサーのミュン・ファン・ローンの三角関係が描かれた。1994年にOVAが発売され、95年に劇場版アニメが公開。「7」は、宇宙移民船団・マクロス7を舞台に、ロックボーカリストの熱気バサラが戦場で自分の歌を伝えようと奮闘する姿が描かれた。94~95年にテレビアニメが放送。WOWOWでは、続編のOVA「マクロスダイナマイト7」と劇場版アニメ「劇場版マクロス7 銀河がオレを呼んでいる!」「マクロスFB7 オレノウタヲキケ!」を放送する。ハイビジョン版はテレビ初放送となる。
河森監督は、自身が手がけた作品がDVDやブルーレイディスクなどとして再発されるたびに見返すといい、「プラス」と「7」について「若かったな……と思いますよ。(現在の自身の作品と)同じカット割りをしていたり、気づくことが多い」としみじみと語る。
「プラス」には、仮想現実と人の心がテーマとなっていたり、バーチャルアイドルが登場するなど斬新な設定が話題になったが、河森監督は「予言的だったのかもしれません。インターネットが今ほど普及していなかったが、当時、メディアによる催眠効果が気になっていた」と振り返る。一方で、「マクロスプラス」と並行して企画された「マクロス7」は「(プラスとは)逆のことをしようとした」という。
「プラス」は河森監督が初めて本格的に3DCGを使用した作品でもあり、「当時、日本ではCGは1分で1億円かかるといわれていたが、サンフランシスコのスタジオを訪れた際、CGでアニメを制作しているのを見て、『CGは安くできる』といわれ、驚いた。手描きは好きだけど(時代が)変わっていくのでは……と感じた」と振り返る。
河森監督によると「プラス」でフルCGの場面は1分ほどというが、「マッピングなど手探りでやっていた」と情報が少ない中、試行錯誤を繰り返したようだ。CGアニメ全盛の現在、メカだけでなく、キャラクターもフルCG化したテレビアニメも増えてきているが、河森監督は「手描きとCGのどちらが優れているとはいえない。CGにはカメラワークの自由度などはあるが、手描きには味がありますしね」と語る。
河森監督は、スピーディーな戦闘シーンを得意とすることから“板野サーカス”と呼ばれるほどの名アニメーターで「プラス」に参加した板野一郎さんもCGの導入に積極的だったといい、「板野さんの戦闘シーンが見どころ」と話す。
「マクロス」シリーズは新作の制作も発表されており、河森監督は現況を「企画段階だが、実行にかかりつつある」と明かす。今後の「マクロス」シリーズの展開に期待したい。
「マクロスプラス」は20日午後11時(第1話無料放送)。「マクロスプラス MOVIE EDITION」は27日午後11時、「劇場版マクロス7 銀河がオレを呼んでいる!」は8月3日午後11時、「マクロスダイナマイト7」は8月3日午後11時45分、「マクロスFB7 オレノウタヲキケ!」は8月10日午後11時にすべてWOWOWプライムで放送。
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