ビジュアリストの手塚眞さんが5日、ブリリアショートショートシアター(横浜市西区)で行われたアートアニメ「森の伝説 第二楽章」の完成記念イベントに登場した。眞さんの父でマンガ家の手塚治虫さんが残した未完の作品の一つを監督として完成させた眞さんは「自分の作品でもあり、父親の作品でもあるという思いが強く、複雑な心境……」と話しながらも、「待っていても誰も(続きを)作らないので、やむなく自分がやるしかないのかな」と完成に喜びもひとしおだった。
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今作は、昆虫を主人公に自然と生命の美しさを描いた約11分の短編アニメで、眞さんは「これまでの手塚作品とは違った自然の見せ方にしようと、何度も背景画を直すなど試行錯誤した。日本的な絵の情感をどう取り入れるかを考えながら取り組んだ」と制作秘話を明かし、「単に昔を回想するアニメではなく、今の日本のアニメのスタイルを取り入れながら、次の時代のアニメをどうするかという含みを取り入れ、まとめられた」と手応えを感じている様子。
「森の伝説」はディズニー作品へのオマージュとして、チャイコフスキーの交響曲第4番に合わせて、全4楽章それぞれにエピソードを描くという構想で制作され、1987年に第1楽章と第4楽章が完成したものの、2楽章分を残し、治虫さんが亡くなり未完となっていた。
同劇場では5~14日まで、「森の伝説」の現在完成している3楽章分や、治虫さんが手がけた10作品のアニメーションを特集上映するほか、治虫さんが残した創作メモなどを展示する。
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