WEAVER:半年のロンドン留学後の全国ツアー 最終公演は「全国でもらったパワーを詰め込んだ」

渋谷公会堂でのライブでロンドン留学の成果を見せたバンド「WEAVER」
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渋谷公会堂でのライブでロンドン留学の成果を見せたバンド「WEAVER」

 3ピースバンド「WEAVER」の全国ツアー「WEAVER“ID”TOUR 2014『Leading Ship』」が、21日に渋谷公会堂(東京都渋谷区)でファイナルを迎えた。約半年間のロンドン留学をへて、活動を再開してから初の全国ツアーだったことでメンバーは「実際に始まるまでは不安で、プレッシャーも感じていた」という。しかし、一旦ツアーが始まってみれば、そんな不安もどこかに吹き飛び、「ツアーで回った各会場で、多くの人にいい感想をいただけて、それが力になって最後までやり遂げることができた。最終日は、全国でもらったパワーを詰め込むことができました」(ベースの奥野翔太さん)と話した。

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 セットリストは「Hard to say I love you ~言い出せなくて~」「こっちを向いてよ」など、6月にリリースしたベスト盤「ID」の収録曲を中心に、ロンドン留学中に制作した新曲3曲も披露した。1曲目から新曲が飛び出した。海の深くにどんどん潜っていくような映像が流れ、それに時間をさかのぼるようなイメージの映像が重なる。関係者に配られたセットリストにも、新曲と書いてあるだけで、タイトルもまだ付いていないようだ。それでも観客は、登場した3人を大歓声で迎え、まだ題名のない楽曲にジッと聴き耳を立てながら体を揺らして楽しんでいる様子。

 「ロンドンと日本の時差が8時間くらいで、その時差が縮まって時間が重なっていくような演出ありきで作った曲です」(ドラムの河邉徹さん)という。ロンドン留学の成果の一つとして、ライブ演出を意識した楽曲作りを心がけるようになったというメンバー。「曲をより引き立てて、伝えたいことをより伝えるためには、演出も曲と同じくらい考えるべきだと思ったんです」(ボーカル&ピアノの杉本雄治さん)。奥野さんも「以前はピアノバンドというスタイルの目新しさがあっても、ライブでみんなを引っ張っていくところまでなかなかできていなかったと思うんです。でも今回のツアーで、やっとライブで見せられるバンドになったんじゃないかと思う。ライブを見てくれた人は、もう絶対に放さないという自信も意気込みもあります!」と力強く語る。

 ボーカル&ピアノ、ベース、ドラムという編成ながら、ステージはさまざまなアイデアと演出で楽しませる。序盤に演奏した「新世界」は英ロックバンド「コールドプレイ」のヒット曲「美しき生命」をミックスした「マッシュアップ」と呼ばれる手法で披露。曲の途中では3人並んでピアノを連弾し、YMOの「ライディーン」や「Let it Go」のフレーズを披露するというちゃめっ気も見せた。また、奥野さんがアコースティックギターを弾き、河邉さんがパーカッション、杉本さんがキーボードを弾きながら歌うアコースティックコーナーでも観客を沸かせた。曲間のMCで「ロンドンでは、最初は英語が話せず練習スタジオを予約するのもままならなくて、悔しいこともたくさんあった」と留学のことを話した杉本さん。その後は、英語が歌詞のメインになった新曲で、成長ぶりを見せつけた。さらにアンコールで披露した新曲では、奥野さんが太鼓をたたきながらキーボードも弾き、杉本さんはハンドマイクでステージを動き回りながら歌うというパフォーマンスも見せた。

 ライブ終演後、やり切ったという感じで、すがすがしい表情を見せていた3人。ライブのMCで「みんなをもっと大きい場所に連れて行きたい」と話していたことについてライブ後に聞くと、「僕らはデビューした翌日にflumpoolさんの武道館公演に、オープニングアクトとして出させていただいたんです。そのときからずっと、いつか武道館に立ちたいという気持ちを持っています。これは目標の一つですね」と答えた杉本さん。ロンドン留学によって、3人という最少人数を最大の武器に変えるすべを手に入れたバンド「WEAVER」。今回のツアーを経験したことで3人が目標とする“もっと大きな場所”は、以前よりもぐんと目の前に近づいたことだろう。会場に響くメンバーの名前を叫ぶ観客の歓声が、そのことを物語っていた。

 (リポート・文:榑林史章)

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