榮倉奈々:「名探偵コナン 業火の向日葵」で声優 体小さくなったら「学校のテストを受けたい」

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 青山剛昌さんのマンガが原作の人気アニメ「名探偵コナン」の劇場版アニメ最新作「名探偵コナン 業火の向日葵」(静野孔文監督)が全国で公開中だ。ゴッホの名画「ひまわり」をめぐる謎にコナンが挑むシリーズ初の“アートミステリー”で、コナンと怪盗キッドが激しい攻防を繰り広げる。ゲスト声優として絵画鑑定士・宮台なつみ役の声を担当した女優の榮倉奈々さんに、「名探偵コナン」の魅力や思い出、見どころなどを聞いた。

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 ◇声の演技の繊細さを再認識

 子供の頃から「名探偵コナン」が大好きだったという榮倉さんは、「まさかコナンの世界に自分の声が入るとは思わなかった」と出演を喜ぶも、「(物語に)ちゃんとなじめているのかはまだ分からないです」と不安げな表情も見せた。しかし、完成した映画を見てその完成度に驚き、「参加させてもらえて本当にうれしかった」という。

 アフレコ現場に入った時に、「すごく広いブースでの収録で、さすがコナンだなと思いました」と驚き、「大きなプロジェクトに参加しているなというのは現場にいて分かったのですが、緊張しました」と当時の心境を語った。榮倉さんにとって5年ぶりの声優だったが、「自分では普段よりもすごく大きくお芝居しているつもりでも、声だけで聞くと、思いのほか控えめで、コナン君の世界にはまらなかった」と苦労もあったといい、「声のボリュームや距離感、(声の)種類というのは繊細なんだというのを改めて気付きました」としみじみと振り返った。

 ◇なつみはロマンチックな女性

 榮倉さんが声を担当する宮台なつみは絵画の歴史にも詳しい絵画鑑定士で、「ひまわり」を守るスペシャリスト「7人のサムライ」の一人として登場する。なつみの人物像を「ロマンチック」と表現し、「絵画の背景や歴史というのに自分の思いをはめていて、なつみは本当に絵画を愛している人」と評する。そして、「それを仕事にしていて、自分の生きがいで、真面目だしロマンチックな人だなと思いました」と表現し、「あそこまで愛しているものを仕事にできてうらやましいと思うし、やりがいというか生きがいにできている女性はカッコいいと思います」と目を輝かせる。

 榮倉さんにとって、なつみの絵画に当たるものは、「なつみのように歴史など何かものに思いを託すのとは違いますが、仕事仲間だったり、友達、家族は大切にしています」と話す。なつみ以外にも物語を彩るキャラクターが多数登場するが、榮倉さんは「登場人物みんなが“正義”を持っている」と感じ、「(コナンたちや物語に対して)スパイスでもあるけど、かく乱もしていると思う」となつみらの役割を語る。

 ◇学校を休むとコナンに夢中

 「名探偵コナン」の魅力について、「ミステリーの部分が子供の頃は怖かったのですが、それぐらいリアル。どうやって(トリックを)考えているのだろうと読み終わった後に思うぐらいでした」と自身の子供時代を振り返り、「そういうリアルさとコナン君のヒーロー的なキャラクターが、すごくエンターテインメントだし、大人も子供ものめり込める要素なのかなと思います」と持論を展開する。好きなキャラクターは、ヒロインの毛利蘭で「女の子の憧れ的なヒロイン。強くて頭がよくて可愛い」と力説するも、「今回の映画を見て、(鈴木)園子ちゃんいいなと思いました」と告白。冒頭のオークションシーンを見て「すごいお金持ち」と改めて感じたという榮倉さんは、「子供の頃よりもそのすごさを実感しました」とちゃめっ気たっぷりに語り笑った。

 小学生の頃、「ミステリーとかサスペンスがすごい好きでした」という榮倉さん。風邪などで学校を休んだ時、少し元気を取り戻すと、「名探偵コナン」のマンガをよく読んでいたというが、「あまり覚えてないのですが、好きな巻があったみたいで、1冊だけボロボロになってしまいました」と思い出を語った。ちなみに、コナンが使いこなす捜査アイテムの中でいいと思うものに「犯人追跡メガネ」を挙げた。

 ◇自身の声は「気にせず楽しんでほしい」

 今作の感想を、「ゴッホが描いた『ひまわり』を中心に事件が回るのですが、私的な見どころは今までのレギュラーの登場人物たちのつながりというか、その部分の物語が面白かった」と切り出し、「蘭姉ちゃんが新一を思う場面や、怪盗キッドとコナン君の戦いも、コナン君のファンだったら新しい一面を見られるのでは」と見どころを挙げる。特に「コナン君と怪盗キッドのやり取りがすごく面白かったですし、蘭ちゃんの新一への思いが見えるシーンはすごく好き」と目を輝かせ、「ゴッホについて知ることができるのもいいし、アクションを楽しみに見てもらっても面白いと思ってもらえるのかな」とアピールする。

 自身が演じたなつみ役の注目ポイントは、「あまり注目されたくないかも」と意外な発言が飛び出すも、「私だと思われないで、なじんでいてほしい。(私の声だということは)気にせずに映画を楽しんでほしいです」と力を込める。最後にコナンのように体だけ小学生になったら?と聞くと、「学校のテストを受けたい」と答えた。「学校に行けば褒められそうだし、今なら満点を取れそうだからです」と言って笑った。映画は全国で公開中。

 <プロフィル>

 1988年2月12日生まれ、鹿児島県出身。2004年に女優デビューし、数多くの作品に出演。主な出演作に、ドラマはNHK連続テレビ小説「瞳」、「メイちゃんの執事」(フジテレビ系)、「Nのために」(TBS系)など。映画は「余命1ケ月の花嫁」(09年)、「アントキノイノチ」(11年)、「わたしのハワイの歩きかた」(14年)、「娚の一生」(15年)などがある。

 (インタビュー・文・撮影:遠藤政樹)

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