テレビ試写室:「ガッチャマンクラウズ インサイト」 さすがの中村演出 ゲルサドラは“ボクっ子”

(C)タツノコプロ/ガッチャマンクラウズインサイト製作委員会
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(C)タツノコプロ/ガッチャマンクラウズインサイト製作委員会

 ドラマからドキュメンタリー、バラエティー、アニメまで、さまざまなジャンルのテレビ番組について、放送前に確認した記者がレビューをつづる「テレビ試写室」。今回は2年前に話題を集めたアニメの新シリーズ「ガッチャマンクラウズ インサイト」(日本テレビ)だ。

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 1970年代の名作アニメから生まれ、「つり球」などで知られる中村健治監督の手によって独自の発展を遂げた前作から2年。一ノ瀬はじめら新世代のガッチャマンたちが帰ってきた。

 新潟県長岡市に暮らす普通の女子高生、三栖立(みすだち)つばさ(石原夏織さん)の自宅の近くに正体不明の宇宙船が墜落。調査のため、一ノ瀬はじめ(内田真礼さん)ら「立川CAGE」のガッチャマンがやってきた。水田の中に落ちた宇宙船から現れたのは数々の星を平和に導いてきたとされる異星人ゲルサドラ(花澤香菜さん)だった……。前作で描かれた「立川事件」の中心人物、爾乃美家累(にのみや・るい/村瀬歩さん)や新キャラクターのつばさが新たなガッチャマンとして登場する。

 前作は、人間の意志が実体化した「クラウズ」とSNSで、人の善意を有効活用する様子を描き大団円を迎えた。しかし今作の前日譚(たん)にあたる0話ではそれに反感を持つ鈴木理詰夢(りずむ/梅原裕一郎さん)らの存在が描かれ、1話では平和の使者という異星人ゲルサドラも登場した。ゲルサドラは「科学忍者隊ガッチャマン2」の悪役と同じ名前で、単なる平和の使者とも思えない。そうしたさまざまな要素が冒頭から混然一体となっているのだが、それでいて難解さを感じさせずスムーズに見られるのはさすがの演出だ。

 前作からのキャラクターでは、はじめのストイックな相棒だった橘清音(逢坂良太さん)がまさかの“大学デビュー”を果たして“リア充”ライフを送っているほか、チームの保護者的な立ち位置だったO・D(細身大輔さん)はオネエ口調を生かしてテレビ番組のコメンテーターを務めている。シリーズのファンはこうした変化を楽しめるだろう。

 新キャラクターのつばさは直情型の性格なので、一見常識はずれで超然とした性格の主人公・はじめよりも、視聴者に近い立ち位置だ。一方のゲルサドラは、人の気持ちにまつわる特殊能力を持つキュートなキャラクター。性別は不明だが、一人称も「ボク」のいわゆる“ボクっ子”なので、人気声優の花澤さんが声を担当することも相まって人気を集めるのでは。

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