映画「シャーロック・ホームズ」シリーズ(2009年、11年)のガイ・リッチー監督の最新作「コードネームU.N.C.L.E.」が、14日から公開される。1960年代に人気を博したテレビシリーズ「0011ナポレオン・ソロ」を、リッチー監督自らが脚本を書き、製作も担当した。主演は、ヘンリー・カビルさんとアーミー・ハマーさんというイケメンの2人。彼らが、米露の凄腕スパイに扮(ふん)し、最後まで息をつかせない、それでいて肩ひじ張らない楽しいスパイ映画に仕上がっている。
ウナギノボリ
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東西冷戦さなかの1960年代。米国とロシア(ソ連)の緊張関係が続く中、両国は、核兵器で世界破滅を企む凶悪テロ計画の情報をキャッチする。米国CIAのナポレオン・ソロ(カビルさん)は、カギを握るとされる女ギャビー(アリシア・ビキャンデルさん)を確保するためベルリンへ向かう。一方、ロシアのKGBもまた、イリヤ・クリヤキン(ハマーさん)をギャビーのもとに送り込んでいた……というストーリー。
カビルさんといえば、あの「マン・オブ・スティール」(13年)の“スーパーマン”だ。人類のために戦う、筋骨たくましい男を演じた彼がスパイとは、映画を見る前は違和感ありありだった。しかし、これがはまっているのだ。あの憂いを秘めた瞳はそのままに、筋肉のせいで上着がちょっと窮屈そうではあるが、それでも均整のとれた体形でスーツをびしっと着こなし、なかなかの見栄えだ。対するイリヤ役のハマーさんは「ソーシャル・ネットワーク」(10年)で“双子”を演じていた。その彼が、今回は、力はめっぽう強いが性格にやや問題ありの、なまりのキツイ英語をしゃべるロシア人にふんし、アクションもこなし、と見事にスパイになり切っている。クールなソロと、ヒートアップしやすい性格のクリヤキン。国籍も性格もバラバラの彼らが、図らずも難事件を前に手を組むことになり、反目しながら任務に当たる様子がスリリングかつ軽快に展開していく。どこか古めかしく、それでいて気品があり、高級感すら漂う演出が心をつかむ。主演の2人はもとより、ギャビー役のビキャンデルさんも魅力的で好感が持てる。重要な役どころでちらりと姿を見せるヒュー・グラントさんの“実力”は今作では未知数だが、それは今後おいおい(シリーズ化されればの話だが)明かされていくのだろう。続編が楽しみだ。14日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開。 (りんたいこ/フリーライター)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションを経てフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。
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