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異世界もの:ネット小説発のアニメが人気 キーワードは“共感”

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テレビアニメ「異世界食堂」(左)と「ナイツ&マジック」のビジュアル(C)犬塚惇平・主婦の友社/「異世界食堂」製作委員会(C)天酒之瓢・主婦の友社/ナイツ&マジック製作委員会

 毎クール30本近い新作が放送され、飽和状態とも言われる深夜アニメの中で「異世界もの」というジャンルがヒットしている。ネット小説から生まれた作品が多く、「Re:ゼロから始める異世界生活」「この素晴らしい世界に祝福を!」などが人気を集めている。7月には「ナイツ&マジック」「異世界食堂」がスタートした。その2作品の原作編集を担当した主婦の友社のライトノベルレーベル「ヒーロー文庫」の高原秀樹さんに、異世界ものの人気の訳などを聞いた。

 ◇読者に近い普通の主人公が異世界で活躍

 「ナイツ&マジック」「異世界食堂」の原作は、いずれも小説投稿サイト「小説家になろう」の投稿作品から生まれ、“なろう系”などと呼ばれている。なろう系には、28日に映画が公開されることも話題の青春小説「君の膵臓をたべたい」のような例外もあるものの、特に人気なのは、現代社会で生活する平凡な主人公がファンタジーな異世界に放り込まれて活躍するという作品だという。

 異世界ものは近年、急にブームになったわけではない。映画化もされたファンタジー小説「ナルニア国物語」や1980年代に人気を集めたアニメ「聖戦士ダンバイン」など、これまでも数々のヒット作があり、普遍的に人気があるジャンルである。

 人気の理由について、高原さんはキーワードとして「共感」を挙げる。「学校や職場でうまくいかない……などという悩みは誰しもあるかもしれません。異世界なら活躍ができるかもしれない!と想像をした経験がある人も多いはず。異世界ものはその願望をかなえてくれる。そこに共感しているのかもしれません」と分析する。

 例えば「ナイツ&マジック」の場合、交通事故で命を落としたプログラマーでロボットオタクの主人公が異世界に転生。豊富なメカ知識とプログラマーの才能を生かして理想のロボットを作って活躍する。

 異世界に転生する話にしなくても、例えば、異世界の超人的な能力を持つ主人公という設定でも、ストーリーは成立するかもしれない。ただ、高原さんは「読者に近い普通の主人公が異世界で活躍するから、より共感できる」と話す。

 異世界ものは、主人公が強過ぎる「チート」が人気を集める傾向もある。高原さんは「リミッターを外したような『無双』状態になりたい……願望を持っている人が多い。中途半端にするより、チートの方が爽快感があります。爽快感が重要なのは、ラノベやアニメに限らず、どのエンターテインメントでも共通なのかもしれませんが」と説明する。

 ◇小説は飽和状態もアニメはブーム続く

 異世界ものは多様化している。7月にテレビアニメがスタートした「異世界食堂」(ヒーロー文庫)もその一つだ。商店街の洋食店が毎週土曜になると異世界とつながり、エルフなど異世界の住人がメンチカツやオムライス、カレーライスなどの料理を楽しむ……という展開。平凡な主人公が異世界に転生するわけではない。異世界と落語をテーマとした「異世界落語」(ヒーロー文庫)なども人気を集めている。

 グルメや落語など多様化はしているが、高原さんは「似たような作品も多いと、読者は飽きてくるので、多様化してくる。『異世界食堂』にしても平凡な洋食店が異世界の住人に評価されることになる。実は、ほかの異世界ものと根本的な構造は同じなのかもしれません」とも話す。

 7月にはテレビアニメ「異世界はスマートフォンとともに。」もスタートし、「盾の勇者の成り上がり」「異世界居酒屋『のぶ』」「デスマーチからはじまる異世界狂想曲」などもアニメ化が発表されている。高原さんは「今は、なろう系のラノベを取り扱う出版社は20社くらいあり、人気作はすぐに書籍化され、青田買いも多い。異世界もののラノベは飽和状態とも言われています。ただ、アニメはどれもヒットしているようなので、まだブームは続きそうですね」と予測する。

 ヒット作が生まれると、追随する作品が生まれる……というのはアニメ業界に限らずよくあることだ。異世界ものの人気作はまだアニメ化されていない作品も多いといい、高原さんが話すように、ブームは当分続きそうだ。

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