解説:「呪術廻戦」 未曾有の呪術テロ「渋谷事変」 5時間で起こった5大事件

「呪術廻戦」のコミックス第11巻のカバー
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「呪術廻戦」のコミックス第11巻のカバー

 「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中の芥見下々(あくたみ・げげ)さんのマンガが原作のテレビアニメ「呪術廻戦」の第2期「渋谷事変」が、2023年12月28日に最終回を迎えた。一般市民を巻き込み、東京23区を壊滅させた未曾有の“呪術テロ”渋谷事変は、2018年10月31日午後7時に勃発し、日付が変わるまでの約5時間で、さまざまな大事件が起こった。五つの大事件と共に渋谷事変を解説する。

ウナギノボリ

 ◇事件その1 開始2時間で五条悟封印

 渋谷事変が起こったのは、2018年10月31日午後7時。ハロウィーンでにぎわう渋谷駅周辺に突然“帳(とばり)”が降ろされ、大勢の一般人が閉じ込められた。その帳は“一般人のみが閉じ込められる”という高度な結界術だった。渋谷事変の首謀者と思われる夏油傑は、五条悟の封印をもくろんでおり、一般人を介して五条悟を“指名”。一般人は「五条悟を連れてこい」と叫び、暴れる。呪術界の上層部は被害を最小限に抑えるため、五条単独での渋谷平定を決定する。

 渋谷駅地下ホームへ向かった五条は、一般人を盾にされながらも、呪霊の漏瑚(じょうご)、花御、脹相(ちょうそう)を圧倒する。大量の改造人間と共に真人も参戦するが、一か八かの0.2秒の領域展開を発動。改造人間およそ1000体を領域解除後、299秒で倒す。しかし、五条の前にかつての友であり、自らの手で殺したはずの夏油が現われる。額にツギハギがあるその男は、夏油の亡きがらに寄生した“何者か”だった。何者かが手にした獄門疆(ごくもんきょう)により、渋谷事変の開始から約2時間で、五条は封印される。

 五条悟封印は、呪術界を揺るがす大事件として、渋谷に集まった呪術師たちに衝撃を与える。呪術界の御三家の一つである五条家を支える五条悟の影響力は絶大で、彼が融通を利かせて救われていた術師の身が危うくなり、さらには彼の存在ゆえにおとなしくしていた呪詛師、呪霊たちが一斉に動きかねない事態となる。

 ◇事件その2 伏黒甚爾“復活” 恵と親子の邂逅

 10月31日午後9時半ごろ、五条悟封印の知らせは、メカ丸から虎杖悠仁、虎杖から渋谷に集まった術師たちに伝えられ、五条奪還のために術師たちが動き出す。虎杖と伏黒恵は呪詛師の粟坂二良、七海建人と釘崎野薔薇は呪詛師の重面春太(しげも・はるた)、冥冥と憂憂は特級特定疾病呪霊とそれぞれ対峙(たいじ)し、撃破する。

 午後10時20分、七海は、禪院真希、禪院直毘人と合流した後、呪霊・陀艮(だごん)と遭遇。七海らが陀艮の領域展開により窮地に追い込まれる中、伏黒甚爾が突如乱入する。伏黒甚爾は、伏黒恵の父で、呪術高専時代の若き五条悟との戦いで命を落としたはずだったが、呪詛師・オガミ婆の降霊術によってよみがえっていた。

 暴走状態の甚爾は陀艮を圧倒的な強さで倒した後、息子である恵に襲いかかる。戦いのさなか、何かを思い出した甚爾は、恵に「オマエ、名前は?」と尋ね、恵が「伏黒……」と答えると、「禪院じゃねぇのか よかったな」という言葉を残し、自身のこめかみに呪具・游雲を突き刺し、自害する。一瞬ではあるが、甚爾と恵が親子の邂逅(かいこう)を果たした。

 ◇事件その3 両面宿儺VS魔虚羅 7分で渋谷壊滅

 午後10時10分、七海らが陀艮と対峙していた頃、虎杖は脹相と遭遇し、バトルを繰り広げていた。脹相に倒され意識を失った虎杖は、美々子と菜々子、漏瑚により一気に10本以上の両面宿儺の指を食わされ、宿儺が現れた。漏瑚は宿儺に戦いを挑むも、圧倒的な強さの前に歯が立たず敗北する。

 同じ頃、甚爾との戦いで満身創痍(そうい)の恵を重面が襲撃。伏黒は重面を道連れにして、“最強の式神”八握剣異戒神将魔虚羅(やつかのつるぎいかいしんしょうまこら)を呼び出す。そこに漏瑚との戦いを終えた宿儺が現われる。宿儺は、何らかの理由で伏黒のことを買っており、伏黒を救うべく、魔虚羅との戦いに臨んだ。

 “呪いの王”である宿儺と“最強の式神”魔虚羅の戦いはすさまじいものだった。魔虚羅が顕現したのは午後11時7分で、宿儺から肉体の主導権を取り戻し目覚めた虎杖が渋谷の凄惨(せいさん)な状況を目の当たりにしたのは午後11時14分。約7分間で、渋谷が壊滅状態となった。

 ◇事件その4 七海建人の最期

 渋谷事変において、主人公・虎杖はもちろん、ファンにとっても大きな衝撃を与えたのは、1級呪術師の七海建人の最期だろう。七海は呪術高専時代の五条の後輩で、一度は一般企業に就職するも“脱サラ”して呪術師となった。呪術高専時代は同級生である灰原雄を失い、「呪術師はクソ」と学び、一般企業で「労働はクソ」と学び、呪術師の道を選んだ。

 渋谷事変では、七海は真希、直毘人と共に陀艮と戦い、その後、現われた漏瑚に重傷を負わせられるも倒れることなく戦い続けた。ボロボロの状態で真人と相対し、上半身を吹き飛ばされ、命を落とすことになった。死の寸前、灰原の幻を見た七海は、真人を追って現われた虎杖に「あとは頼みます」という最期の言葉を伝えた。この言葉が、後に虎杖を大きく変えることになる。

 ◇事件その5 夏油傑の“うちにいる者”が判明

 渋谷事変のクライマックスでは、さまざまな絶望を経て覚悟を決めた虎杖が真人を追い詰める。午後11時26分、二人の死闘に決着がついたかと思われた瞬間、「助けてあげようか、真人」と夏油に寄生した“何者か”が現われる。さらに、脹相、呪術高専京都校のメンバー、特級呪術師の九十九由基が登場する中、脹相が“何者か”の正体に気付く。それは、史上最悪の術師と呼ばれた加茂憲倫だった。ただ、“何者か”は、肉体を乗り換える術式を持っており、「加茂憲倫も数ある名の一つにすぎない」と語り、真の正体はいまだ分からない。彼は“人類のネクストステージ”を語り、街に大量の呪霊を放ち、姿を消した。

 第2期「渋谷事変」の最終話では、渋谷事変の甚大な被害が描かれた。“何者か”が街に放った呪霊は1000万体に上り、東京23区はほぼ壊滅状態。政府関係者が「500万人の疎開プランを組まなくては」と語ったのも印象的だった。呪術界では、五条の呪術界からの永久追放、執行猶予がついていた虎杖の死刑執行が決定し、乙骨憂太が死刑執行人に任命された。

 衝撃のラストを迎えたテレビアニメ第2期「渋谷事変」。アニメ続編の制作も発表され、今後どんなドラマが繰り広げられるのか、注目される。

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