水曜日のダウンタウン
名探偵津田 第3話
12月11日(水)放送分
俳優の瑛太さん主演で、2組の夫婦の等身大の姿を描いた連続ドラマ「最高の離婚」が毎週木曜午後10時にフジテレビ系で放送中だ。瑛太さんをはじめとする俳優の演技や印象的なせりふの数々とともに話題になっているのが、毎回変わるエンディングだ。桑田佳祐さんが手がけた主題歌「Yin Yang(イヤン)」にのせて、瑛太さんら主要キャスト4人がコミカルなダンスを繰り広げている。その裏話を番組の清水一幸プロデューサーに聞いた。(毎日新聞デジタル)
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瑛太さんが演じているのは、神経質で人付き合いが苦手な30歳のサラリーマン濱崎光生。その妻・結夏を尾野真千子さん、光生の家の近所に偶然引っ越してきた光生の元彼女・上原灯里を真木よう子さん、その夫・諒を綾野剛さんが演じている。2組のカップルが結婚、離婚を通じて成長していくさまを描いた脚本は、「東京ラブストーリー」(91年、フジテレビ系)や「Mother」(10年、日本テレビ系)などで知られる坂元裕二さんが手がけた。主な舞台は東京・中目黒で、ドラマは「登場人物と言葉が生きている。『こういう人、いる』って見えるように、(光生ら)4人のうちの誰かにどこか共感できる部分を見つけてくれたらいい」とリアルさを重視している。
しかしエンディングは、リアルとはほど遠い仕上がりだ。瑛太さんと綾野さんが、シルバーのスパンコールをショールに使った黒タキシード、尾野さんと真木さんがひざ上までスリットの入った青のロングドレスをまとい、ダンスをする。振りはおおむねコミカルな印象だが、4人の表情や間にはさまれる“からみ”のシーンがセクシーだ。それぞれのカップルだけでなく、女性2人が男性1人を囲む場面や、女性同士、男性同士のきわどい場面もある。また全員がドラマでは見せないような“変顔”を見せているのも見どころ。さらにこの映像が毎週、変わるのもポイントで、スタンダードに4人を映した1話のあと、2話で結夏、3話で灯里、4話で諒をフィーチャーし、7日放送の5話で光生にスポットを当てている。
このエンディング誕生にはいくつかのきっかけがあり、最初のきっかけは清水プロデューサーの「視聴率が落ちるエンディングだったら、意味がない」という発想だった。ドラマは一般的にエンディングで視聴率が下がることが多く、それをカバーするため、ダイジェスト映像を入れたり、次週の予告などを入れたりして飽きさせない工夫をしている。「(エンディングも)毎回楽しみにしてほしい」と考えた清水プロデューサーが、まず「毎回映像を変えよう」という提案を、1話の演出を手がけた宮本理江子監督に相談し、話がまとまった。
その後、桑田さんの曲が主題歌に決まり、歌詞がまだない状態で聴いたところ、「カッコよく作ったら面白い」と思ったのが二つめのきっかけ。そのタイミングで「ドラマの中では、みんな普通にしているから、全くギャップがある映像にしたら面白いんじゃないのという話になった」といい、「あの曲だったので、踊るか!」と、話が転がった。また「毎回映像が変わる」という趣旨にのっとって、「いろんな映像を組み合わせる」ことにし、桑田さんの持ち味も考慮して「ちょっとエッチだったり、大人びた映像」を採用したという。
映像を作る際、「ギャップ」とともにコンセプトにしたのが「実は夢だった」という設定。特に1話ではエンディングの最後に跳び起きる光生の姿が映し出され、「光生が夢の中で自分がカッコよく、モテていて、ふと起きたら現実だったっていうのがオチ」と明かした。
清水プロデューサーは、今回のエンディングに「(キャストは)驚いていた。まさか!だったと思います」と振り返る。ダンスのサンプルをDVDで渡して練習してもらい、3日ほどのリハーサルをして、最終話までの映像を1日で撮影した。4人とも「(ダンスが)得意だとは思っていないと思うけれど、さすが、みなさん役者さん。ちゃんと(練習を)やってきてくれるし、演じるって思ってやってくれているのが大きい」といい、踊れずに困るなどの問題はなかったという。
一方で「みんなノリノリ。からみのシーンとか、大人っぽいシーンとかは、そこまでいかなくてもいいのにっていう感じだった」といい、放送されている以上にセクシーな場面も撮影されたようだ。「表に出せない映像が、お宝映像として残っています。僕らも視聴者に出していいのかどうか分からないと思っているので、お蔵入りしています。(放送されている)あんなレベルじゃないです」と苦笑いで明かす。
また、回を重ねるごとにエンディングへの注目度が高まっていることから、現在、未定ながらも「もうちょっと映像を増やそうか……という話をしています。せっかくだからもうちょっとあっと驚かせる仕掛けをしたい」と話す。後半にいくにしたがって、より刺激的にしていく方がいいのかなど、「実はまだ悩んでいます」といい、今後に期待が高まる。
ドラマは、初回で光生と結夏が離婚。それぞれの実家に離婚したことを告げられぬまま、2人は同居し続けている。また新婚の灯里は、諒の浮気に感づきながらも、素知らぬふりをしていたが、諒が婚姻届を出していなかったことを知り、その関係に変化が訪れようとしている。
現在、9話までの構想はあるというが、その後、最終話の展開は「決めていない」という。「光生、結夏、灯里、諒が、離婚というものを経験したから人間として一歩成長できたというところが表現できればいい」と考えており、「最高の離婚」というタイトルには「離婚しなければ彼(光生)は何も変わらなかった。成長は離婚を経験したからだと思っていたい。だったら離婚って、実は最高なんじゃないか」という思いが込められている。
今後は「光生と結夏がなぜ結婚して、なぜ離婚したのかという濱崎家のことがだんだん明らかになっていきます。逆に婚姻届を出していなかった上原夫妻は、2人の関係性がだんだんとぎくしゃくしていく。そこを楽しんでいただければ」と話している。
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