士郎正宗さんのマンガが原作で、テレビや映画、OVAなど、何度も映像化されてきた「攻殻機動隊」を新たにアニメ化した第1弾「攻殻機動隊ARISE border:1 Ghost Pain」(黄瀬和哉監督)が22日に公開された。シリーズ最新作となる今作は“第4の攻殻機動隊”と位置づけられ、原作の士郎さんもプロジェクトに参加。総監督は劇場版アニメ「機動警察パトレイバー」などの黄瀬さんが務め、シリーズ構成と脚本を作家の冲方丁さんが担当。アニメーション制作はプロダクションI.G、「コーネリアス」が音楽を手がけるなどスタッフに豪華な顔ぶれがそろった。
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凶悪犯罪の阻止を目的とした特殊部隊・攻殻機動隊創設秘話や全身サイボーグのヒロイン・草薙素子(くさなぎ・もとこ)の謎に迫るエピソードなどが4部作で描かれる。素子役の坂本真綾さんはじめ、声優のメインキャストは一新されている。
2027年、戦禍の爪痕が癒えぬ「ニューポートシティ」で自走地雷を使った爆殺事件と、兵器売買の収賄容疑をかけられた軍人の銃殺事件が発生。公安の荒巻大輔(声・塾一久さん)はその軍人の電脳を求め墓地を暴くが、殺された上官の容疑を晴らそうと動く陸軍義体化部隊“501機関”に所属する草薙素子(声・坂本さん)が現れ、銃口を向ける。所属機関から動向を注視されながらも事件の真相を追う素子は、“眠らない眼”を持つ男バトー(声・松田健一郎さん)や刑事トグサ(声・新垣樽助さん)らと出会う。さらに謎のウイルス“ファイア・スターター”が出現し……という展開。
「攻殻~」は幾度となくアニメ化されてきたが、今回は攻殻機動隊が結成される過程やヒロインの素子の過去が明かされるなど、新たな展開を見せる。“始まり”というこれまで描かれなかった物語について、原作者自らがプロットやキャラクター設定などを考案。それだけに、新しい世界観でありながら、緻密な描写とダイナミックな演出が共存した「攻殻~」らしさは健在だ。序盤から張り巡らされる伏線の数々を、クライマックスに向けて点が線になるかのように見事なまでに収束させていく脚本には、ある種のカタルシスすら感じる。手に汗握るアクションや電脳戦、初めて語られるストーリーなど、今後が大いに楽しみになる展開だ。TOHOシネマズ六本木ヒルズ(東京都港区)ほか全国で22日から2週間限定で公開。(遠藤政樹/毎日新聞デジタル)
<プロフィル>
えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もOKと、どこへでも行きなんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。
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