奈良県吉野町で1日、同地を舞台にしたアニメ「咲−Saki− 阿知賀編」の公式メモリアルイベントが開かれた。桜の名所として知られる同地は観光客が春に集中し、他の季節の人出は多くないが、この日は同作のグッズを手にした若いファンが多数詰めかけ、作品に登場する場所で撮影したり、ゆかりの地を巡るスタンプラリーに参加した。
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この日はスタンプラリー(8月10日~9月8日)と合わせて、近畿日本鉄道の大阪阿部野橋駅から吉野駅までを特別列車が走り、作品に登場する松実(まつみ)姉妹の住む旅館のモデルとなった老舗の旅館「さこや」では、高鴨穏乃(たかかも・しずの)役の声優・悠木碧さんや小野学監督らが参加してトークショーを開催。小野監督はアニメのモデルにした吉野の名所を紹介したほか、2014年春に放送予定のアニメに、1話から阿知賀編のメンバーが登場することも明かしていた。
アニメのヘッドマーク2種類が取り付けられるなどした特別列車は1回きりの運行で、先着順で参加者を募集したところ、翌日には200人の定員に達し、トークショーも150人の枠に約700人が応募するなど大人気で、この日の吉野駅も普段の10倍の人が訪れたという。特別列車とトークショーのいずれにも参加した東大阪市の男性会社員(29)は「吉野は初めて来た。みんなテンションが高くて楽しかったので、イベントがあればまた来たい」と話していた。
「咲−Saki−」は、小林立さんのマンガで、マージャンがスポーツのように競技として存在する世界を舞台に、女子高生らが全国制覇を目指す……という内容。「咲−Saki− 阿知賀編 episode of side−A」は、小林さんが原作を、五十嵐あぐりさんが作画を担当し、本編のヒロインの一人・原村和(のどか)の幼なじみである高鴨穏乃や新子憧(あたらし・あこ)の視点で描かれた外伝となる。テレビアニメは12年に放送され人気を博し、阿知賀編の連載は今年3月に終了したが、本編の連載は現在も続いている。
この日の催しは、吉野町の北岡篤町長などで構成された実行委員会が実施し、アニメの制作者らも協力した公式のイベント。作品などのモデルになった地域にファンが訪れる現象「聖地巡礼」で若者を呼び込み、観光振興につなげようとする自治体は増えているが、史跡・名所がある同町のような自治体が取り組むのは珍しく、委員会は今後も取り組みを続けていくとしている。(毎日新聞デジタル)
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