話題のアニメの魅力をクリエーターに聞く「アニメ質問状」。今回は、高校の吹奏楽部員の青春を描く「響け!ユーフォ二アム」です。シリーズ演出を担当する京都アニメーションの山田尚子さんに作品の魅力を語ってもらいました。
ウナギノボリ
10年前の朝ドラ「花子とアン」 当時の吉高由里子インタビュー
「響け!ユーフォ二アム」は高校の吹奏楽部を舞台にした小説で、それを原作にしてアニメ化させていただいた作品です。初めはバラバラだった部員たちが、新任の顧問により、全国大会を目指して一歩ずつ前進していくお話です。音楽と青春がぎゅうぎゅうに詰まっています。
原作者の武田綾乃さんがもともと吹奏楽経験者だったこともあり、本当に部活をのぞいているような生っぽい息づかいを感じる小説でしたので、何よりもその空気感を大事にしたいと思いました。吹奏楽に関する知識や、楽器の扱いなど知らないことがたくさんありましたが、何か一つのことに打ち込んで熱くなれる感覚というのは、たくさんのジャンルを超えて分かり合える感性だと思いますので、そこを大切に。あとはキャラクター一人一人の考え方、信条に耳を傾けることを心がけました。
この作品のキャラクターは一人一人がとても立っているので、皆さんの好みが分散しているような空気を感じますね。個人個人でもそうですが、1年生組、2年生組、3年生組、と学年別の魅力もあるので……。個人的には緑輝(さふぁいあ)の妹の琥珀がいいですね。
職場でもプライベートでも「実は私も吹奏楽部だったんですよ」という方がたくさん現れるのが面白いです。本当に吹奏楽人口って多いんだなぁ……って(笑い)。その方々が、すごく楽しそうに経験談を語ってくださったり、作品を楽しんでくださっているのが本当にうれしくて。制作現場は吹奏楽部の扱いが間違っていたらどうしよう……ってスタッフ同士でひやひやしっぱなしですが、やりがいはものすごくあります。
吹奏楽コンクールの府大会に向けて、彼女たちがどんどんヒートアップしていきます。今までなんとなく流されることが多かった主人公の久美子も、周りの人たちとの関係の中からいろいろな思いが削り出されて、ちゃんと自分の“好き”を見つけることができて、とても魅力的な女の子になっていきますので、お楽しみいただければと思います。
この作品はキャラクター一人一人の思いがそれぞれに本当にいじらしい作品だと思います。吹奏楽部、という決して大きくないコミュニティーの中で、擦れ合って、悩んで、少しずつ成長していく。とてもけなげで力強い青春を描いていますので、最終回までどうぞよろしくお願いいたします!
山田尚子
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