話題のアニメの魅力をクリエーターに聞く「アニメ質問状」。今回は、宇宙人に力を与えられた陰のエージェントたちが活躍するアニメ「ガッチャマン クラウズ インサイト」です。シリーズ構成の大野敏哉さんに作品の魅力を語ってもらいました。
ウナギノボリ
小芝風花、実写映画「魔女宅」から10年
地球の平和を守るヒーロー「ガッチャマン」の話です。30年以上前の「科学忍者隊ガッチャマン」のリメークですが、時代が変わればヒーローも敵も変わります。今作はヒーローたちが積極的に社会に関与し、今の時代においてヒーローとは何か!?と葛藤する社会派アクションです。そして今回の敵は、日本人にとって必要不可欠なもの。なので倒すのが難しい。そもそも倒していいものかどうかも分からない。そんな難題をガッチャマンたちがどう解決していくかに注目してほしいですね。
--前作「ガッチャマン クラウズ」を振り返って今回に生かしたことはありますか?
前作は時間的に追い詰められて、物語より現実の方がスリリングでした(笑い)。でも懲りずにまた時間をかけて脚本作りをしました。関係者の皆さま、すいません。前作で日本と日本人について考える機会を得て、今回はそれをさらに深く掘り下げて戦うべき敵を決めました。前作のお陰で、僕らにはまだまだ倒すべき厄介な敵がいるのだなと気づかされました。
--前作は制作の難航ぶりがイベントなどでネタになっていましたが、今回はいかがですか?
今回も脚本作りが遅れてしまい、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。前作同様、他の現場でやたらと心配されました(笑い)。しかし難航もやむなしの難しい題材であったことは確かです。僕らのあとを引き継いだ現場スタッフの皆様が、大技を決めて手強い敵を倒してくれることを願っています。
--これだけは心がけているということがあれば教えてください。
当たり前ですが、途中で投げ出さないことです。あとは何を書くにしても日常感覚を忘れないことです。アニメや映画やドラマの業界の中だけに生きる人間にはならないこと。その小さなエリアでしか通じないことをやらないこと。現実とリアリティーは違いますが、リアリティーがないと作品は成り立ちません。SFでもファンタジーでも、いや、SFやファンタジーだからこそ、リアリティーが必要だと思っています。
--作品を作る上でうれしいこと、逆に大変なことは?
監督がときどき倒れたりもします。でもスタッフのモチベーションが高いので、毎回なんとか乗り切ることができています。
うれしいのはやはりファンの皆さんの反応です。すごく細かいとこまで見てくれていていつも驚かされます。ファンの皆さんは常に僕らが至らなかったところを補完してくれます。見る人が完成させるという意味で、それは「芸術」だと思います。
--今後の見どころを教えてください。
見どころは、「僕らにその敵は倒せるのか、本当に倒してもいいのか」です。
もっといえば「敵ってなんだろう?」です。3期があるか(マジで本当に)分かりませんが、2期ですでに日本という国の禁断領域に踏み込んだ気がします。この先がなければ心身ともに楽だけど、もっと踏み込んでみたい気もします。
--ファンへ一言お願いします
ファンの方々と直接触れ合ったことはなく、怖くてネットの反応も見れないんですが、いつも感謝しています。僕は実写からアニメに来た作家なので感じるところはいろいろあります。アニメはファンの方々が温かく、そして厳しい。いずれにしても愛を感じます。僕はこの、時流に媚(こ)びず、独特の道を突き進む「ガッチャマン クラウズ」シリーズに関われたことを誇りに思ってます。今作も前作同様、想定外の結末が待っています。最終回まで応援よろしくお願いします!
シリーズ構成 大野敏哉
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