2014年の第27回東京国際映画祭でグランプリと最優秀監督賞のダブル受賞した話題作「神様なんかくそくらえ」(ジョシュア&ベニー・サフディ監督)が、26日から公開される。ニューヨークのストリートで暮らしたアリエル・ホームズさんの実体験を基に、本人がヒロインを演じ、若者の破滅的な恋愛と刹那(せつな)的な日々を斬新な映像に焼き付けている。
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19歳の少女ハーリー(ホームズさん)は、ニューヨークの路上生活者。同じ仲間の恋人イリヤ(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズさん)はエキセントリックな若者で、ハーリーに愛の証明として自殺を求めてひと騒動を起こす。イリヤが姿を消して、ハーリーは周囲から心配されるが、彼への愛は変わらなかった。やがて、ドラッグディーラーのマイク(バディ・デュレスさん)の家に住み、ドラッグにふけったり、物乞いをしたりするハーリー。再びイリヤが姿を現し……という展開。
少女は破滅的な恋愛に憧れている。彼女にとって恋人イリヤは「初めて出会った優しい人」だった。生まれたてのひな鳥が親鳥にくっついて歩くように、イリヤへの愛は絶対だった。自殺未遂、ドラッグ、盗み……危険な符号が並ぶのに、どこか純粋な雰囲気が漂っているのは、彼女のいちずな愛が核にあるからだろう。イリヤは根っこでは深く彼女を愛している優しい若者なのだが、育ちなのか性格なのか、表現を素直にできない。親に見捨てられたのか、もともといないのか、背景は明らかではないが、ドラッグにしか頼れず刹那的に生きるしかない若者が街角で暮らしているという事実は衝撃的だ。
社会の末端で目も向けられずに暮らす人々に、インディペンド映画界の新鋭であるサフディ兄弟が目を向けた。サバイバルする若者のアップの表情を、野生動物を追うがごとく望遠カメラで捉えて、その効果は絶大で、瞬間、瞬間の生きざまが鮮烈に伝わってくる。一方で、カメラはほとんど街全体を映し出さない。人物の行動が生き生きと描写されたあと、図書館、ファストフード店……などが映り込んでいる。本人が演じるヒロインは、端正な顔立ちと強烈なエネルギーが魅力的だ。恋人イリヤ役は「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」(2011年)などのジョーンズさん。冨田勲さんの音楽が、異空間と浮遊感を感じさせ、とても面白い仕上がりになっている。26日から新宿シネマカリテ(東京都新宿区)ほかで公開。(キョーコ/フリーライター)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。BS12の昭和ドラマ「女と味噌汁」を楽しみ中。
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