「キューポラのある街」(1962年)の舞台となった鋳物工場がある埼玉県川口市を舞台にした新時代のヒューマン作「鉄の子」(福山功起監督)が13日から公開される。再婚した親同士を離婚させる作戦を立てながら、仲よくなっていく子どもたちの姿がたくましい。
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鋳物工だった父親を亡くし、母やよい(田畑智子さん)と2人暮らしの陸太郎(佐藤大志君)の家に、新しい父親・紺(裵ジョンミョンさん)と娘の真理子(舞優さん)がやって来た。陸太郎は、かつて父親が働いていた工場のおじさん(スギちゃん)に父親になってもらいたかったのだが……。同じクラスになった陸太郎と真理子は、同級生にからかわれる。真理子の提案で「リコンドウメイ」を組んだ2人は、次々に作戦を立てていく。そんな折、無職だった紺が仕事を見つけてきて、ようやく生活が落ち着きかけるが……という展開。
子どもは弱い立場にある。だが、親が頼りない場合、たくましくならざるを得ない。そんなけなげ過ぎる子どもたちの話だ。冒頭、再婚して盛り上がっているのは父と母だけ。つまらなそうな表情の陸太郎。ふてくされ気味の真理子。演じる2人が実にいい表情をしている。2人が再婚した両親の離婚を計画するというユニークな設定ながら、露骨に笑いを取ろうとする演出はなく、日常が丁寧に描かれていく。いかにも子どもが考えそうな作戦内容がほほ笑ましい。陸太郎の手には、大事そうに鉄の塊が握られている。その鉄は、彼の心のよりどころなのだろう。真理子は陸太郎よりも大人びて見えるが、母が失踪しており、心の傷も深そうだ。真理子の弱さに陸太郎が気づいたとき、彼は優しさに裏打ちされた強さを身につける。
親に振り回される子どもたちを見ていると切なくなるが、子どもが成長する力が唯一の希望なのだと思わされる。スッとしたりりしい顔つきに変わっていく陸太郎を見て、そう感じる。たたき上げられる鉄に、子どもたちの姿が自然と重なる。「お引越し」(93年)で親に翻弄(ほんろう)される子どもを演じた田畑さんが、子どもを翻弄する母親役を好演。陸太郎に男としての生き方を教えてくれるおじさん役を、お笑い芸人のスギちゃんが味わい深く演じている。福山監督は実体験を基に物語を作ったという。SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザと埼玉県が製作。13日から角川シネマ新宿(東京都新宿区)ほかで公開。(文・キョーコ/フリーライター)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。BSで昭和のドラマ「ありがとう」がまたまた楽しめてうれしいです。
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