週に約100本(再放送含む)のアニメを視聴し、アニメを使った町おこしのアドバイザーなども務める“オタレント”の小新井涼さんが、アニメにまつわるさまざまな事柄についてつづります。第21回は、アニメ雑誌「月刊アニメディア」の編集部を取材した小新井さんが、アニメ誌制作の裏側や意外な事実を語ります。
ウナギノボリ
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毎回、アニメ関連のイベントや制作現場に潜入取材をさせていただいている「浪川大輔とアニメサポヲタ倶楽部ww」内のロケコーナー。先日は、番組コメンテーターのお一人、馬渕悠編集長のいらっしゃる学研プラスの「月刊アニメディア」の編集部さんにお邪魔させていただきました。
アニメディアさんをはじめ、アニメージュさん、Newtypeさんの“3大アニメ総合誌”といえば、アニメ好きなら知らない人はいないくらいの存在です。しかし一方で、“アニメ誌ができるまでの制作過程や、編集者さんのお仕事内容は?”と聞かれると、お恥ずかしながら実はあまりよく知りませんでした。小さいころから親しんでいながら謎のベールに包まれていたアニメ誌編集のお仕事とは……。取材の体験をもとに、紹介させていただきます。
アニメディア編集部さんがあったのは、周りにメガミマガジンさんや、アニメグッズの企画開発チームさんが集まるフロアの一角。媒体は違っても編集者さん同士それぞれ交流があり、まるでその一帯全部で“アニメチーム”であるかのような、アットホームなオフィスでした。
そしてさすがはアニメ誌編集さん! おのおののデスクには資料をはじめ、担当作品やお好きな作品なのであろうグッズなんかもちらほら。我慢できずに、取材のかたわらで好きなジャンルが似ていた女性編集さんと熱く語り合ってしまったのもご愛嬌ということで。
そうこうしているうちに、「ここからここまでがアニメディア編集チームです」というエリアにご案内いただいたのですが、みてみると思ったよりも机が少ないような気が……。それもそのはず、ライターさんやカメラマンさんを入れれば最終的に関わる方は50人ほどにはなりますが、なんとメインの編集メンバーは馬渕さんを入れても5人ほどとのこと! その人数で多くの放送中・放送予定のアニメ作品を担当され、かつあれだけバラエティー豊かな紙面を作り上げておられるのは驚きです。
あとで他のコメンテーターさんからうかがったのですが、アニメージュさんやNewtypeさんも、メインの編集さんは5人から多くても10人前後とのことで、驚きと同時にただただ感銘を受けるばかりでした。
そんな編集部の皆さまは、普段一体どんなお仕事をされているのでしょうか。
アニメディアさんをはじめ、3大アニメ総合誌は毎月10日が発売日。発売から次の発売日に向けての流れは大まかに分けて、「作品自体やスタッフさん、キャストさんなどへの取材」、「ページのレイアウトのラフやデザイン入れ」、「仕上げたものを入稿」、「細かいチェックを終えて校了」、そして印刷されて発売だと教えていただきました。
こうした制作過程を知ること自体も初めてでしたが、中でも1番驚いたのが“描き下ろしイラストのラフ絵”の作業です。アニメ誌さんの目玉でもある、作品ごとの描き下ろしイラスト。てっきり「このテーマでこのキャラを……」と、言葉で伝えてオーダーしているのかと思いきや、なんと実際に編集部の皆さんがラフ絵を描いて作品側に発注しているそうなのです!
試しにその場で自らもラフを描いてみてくださった馬渕さん。誌面のデザインなども扱っているとはいえ、イラストのラフを考案するのはアニメ誌の編集さんならではの必須スキルです。「いつも私たちの“見たい”をかなえてくれる発注をありがとうございます!」と、編集部の皆さまに感謝せずにはいられない瞬間でした。
知らなかったことが恥ずかしいくらい、幅広い業務をこなしていたアニメ誌編集部のみなさん。印刷媒体という特性上、校了前に追い込みになることもあるそうで、その大変さは馬渕さんのデスクにあったお泊まり用の着替えたちも物語っておりました。
それでも、親子何世代にわたって愛読してくださる方がいたり、投稿コーナーや街頭調査などで直接読者の方々の反応をいただけたりと、同じくらいやりがいを感じる瞬間というのもたくさんあるそうです。
まだまだ知らないこと、紹介しきれなかったエピソードもたくさんあると思いますが、雑誌を拝見しているだけではなかなか知ることのできない編集部さんの生の声が聞けた貴重な取材経験となりました。
アニメ制作の現場を描いた「SHIROBAKO」や、声優さんのお仕事ぶりを描いた「それが声優!」なども生まれていることですし、“アニメ誌編集部の方々の熱い毎日”を描いたお仕事アニメなんかがあってもいいのではないでしょうか!?
こあらい・りょう=埼玉県生まれ、明治大学情報コミュニケーション学部卒。アニメ好きのオタクなタレント「オタレント」として活動し、ニコニコ生放送「岩崎夏海のハックルテレビ」やユーストリーム「あにみー」などに出演する傍ら、毎週約100本(再放送含む)のアニメを見て、全番組の感想をブログに掲載する活動を約2年前から継続。「埼玉県アニメの聖地化プロジェクト会議」のアドバイザーなども務めており、社会学の観点からアニメについて考察、研究している。
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