注目映画紹介:「ちはやふる -下の句-」 今度は“スポ根”!? 全国大会に進んだ千早の青春

「ちはやふる -下の句-」のビジュアル (C)2016 映画「ちはやふる」製作委員会 (C)末次由紀/講談社
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「ちはやふる -下の句-」のビジュアル (C)2016 映画「ちはやふる」製作委員会 (C)末次由紀/講談社

 末次由紀さんの人気マンガを広瀬すずさんの初主演で実写化した映画「ちはやふる」(小泉徳宏監督)の2部作の後編「下の句」が29日に公開された。「下の句」は、3月に公開された前編「上の句」で強豪・北央学園に勝利し、東京都大会優勝を成し遂げた千早(広瀬さん)らが所属する瑞沢高校かるた部が全国大会に向けて練習を始めるが……という展開。前編は千早の活躍や競技かるたの紹介とともに、太一(野村周平さん)と新(真剣佑さん)の千早を巡るライバル関係に焦点が当たり、男女ともに楽しめる切ない青春恋愛映画という趣だったが、後編はかるたクイーンの若宮詩暢(松岡茉優さん)と出会ってしまった千早が、個人として詩暢と対決したい気持ちと部の仲間とのチームワークとの折り合いをどうつけるかという、競技かるたに懸ける青春により焦点が当たっている。前編とは異なる種類のカタルシスを感じる、1本の爽やかな“スポ根”青春映画に仕上がった。

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 「ちはやふる」は、末次さんが2007年からマンガ誌「BE・LOVE」(講談社)で連載中の人気マンガで、コミックスは31巻まで発売され、累計発行部数は1600万部を超える。10年には「このマンガがすごい!オンナ編」第1位を獲得した。

 「下の句」は、福井まで新に東京都大会優勝を報告しに行く千早と太一だったが、千早は「かるたはもうやらん……」という新の思わぬ告白にショックを受ける。全国大会へ向けて仲間たちと懸命に練習に励む千早だったが、同年齢ながら最強のクイーンと呼ばれる若宮詩暢の存在を知り、全国大会の個人戦で詩暢と対決する可能性があることが分かると、新に「強くなったな」と言われたい、詩暢に勝てばもう一度新とかるたができるかもしれない……と思うようになる。千早の気持ちは次第に詩暢にとらわれ、競技かるた部の仲間たちから離れていくようになる。そんな千早の目を覚まさせようとする太一。千早、太一、新の気持ちが少しずつすれ違い……というストーリー。

 後編は“かるたの甲子園”と呼ばれる全国高校かるた選手権が行われている近江神宮(滋賀県大津市)での撮影シーンもあり、試合や練習も含めて競技かるたのシーンに重きが置かれている。撮影にあたっては1秒に1000コマ撮影できるハイスピードカメラ「ファントム」を使用し、CG(コンピューターグラフィックス)に頼らず、極力実写を使って迫力の競技シーンに仕上げた。競技かるたは音が重要なポイントにもなるため、そこは実写映画ならではの静と動を使い分けた音を使用し、より競技の臨場感が増している。

 競技のシーン以外の千早や太一、新、部員たちのそれぞれの心の動きもみずみずしく表現し、高校生の青春を鮮やかに描き出した。そしてラストは千早のかるた人生はまだまだこれからというところで幕を閉じる。このあとの千早たちの活躍がもっと見たい、と思っていたら、初日の舞台あいさつで続編が決定したことが原作者の末次さんの手紙で明らかになった。千早らの次のステップを確認するためにも、この「下の句」は見逃せない。29日からTOHOシネマズ六本木ヒルズ(東京都港区)ほか全国で公開。(細田尚子/MANTAN)

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