ドラゴンボールDAIMA
第7話 クビワ
11月25日(月)放送分
末次由紀さんの人気マンガを実写化した映画「ちはやふる」(小泉徳宏監督)の2部作の後編「下の句」が公開中だ。「ちはやふる」は、末次さんが2007年からマンガ誌「BE・LOVE」(講談社)で連載中で、コミックスは31巻まで発売され、累計発行部数が1600万部を超えるベストセラーマンガ。主人公の千早が、転校生の新(あらた)との出会いを通じて競技かるたの魅力に目覚め、幼なじみの太一らかるた部の個性的なメンバーたちとともにかるたに情熱を燃やす姿を描いている。主人公の千早役で映画初主演した広瀬すずさんに「上の句」の手応えと「下の句」について聞いた。
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――3月に公開された「上の句」の反応は?
びっくりするくらいうれしい言葉が多いです。「千早にしか見えなかった」という言葉(反応)に接すると、いつもジーンとしちゃうんです。私のツイッターにもそういう言葉が多くて。大人の方から「泣いた」「涙したよ」というコメントも見ました。大人の方にも届くものがある作品なんだな、と。また、(映画で描かれているのは)10代の瞬間なので、同世代の10代のみんなにも届いていて、「ちはやふる」という作品を見て、応援してくれているんだなというのがすごく伝わってきました。
――そして4月29日に「下の句」が公開されました。「上の句」にはあまり出てこなかったキャラクター、松岡茉優さんが演じるかるたクイーン、若宮詩暢(わかみや・しのぶ)らも出てきますし、全国大会という「上の句」の東京都大会とは規模も違ってきますけれども、「下の句」はどういうところを見てほしいですか。
より人間ドラマになっていて、千早の感情的なシーンが多いんです。三角関係もそうですし、瑞沢高校の(かるた部の)みんなに対しても千早が乱してしまう場面が多いんですけれど、近くに同じ思いの瑞沢のみんながいてくれて……。
詩暢という女の子に会って戦うシーンは、私も茉優ちゃんも真剣にやっていたので、どれだけその熱量が伝わるかは、見てくださった皆さんにしか分からない。映画館で見てもらうことに意味があって、映画だからこそできるシーンや空気感と熱量など伝わるものがあると思うので、ぜひスクリーンで、映画館の空気感の中で味わってもらえたらなと思います。本気でやりすぎて、正直どんなふうにやっていたかは覚えてないほど、酸欠状態になるくらい2人とも必死だったので。そのかるたへの情熱とか愛情とか、そういうものを少しでも持って帰っていただけるといいなと思います。
――台本上、千早は詩暢に負けますが、撮影では負けて広瀬さんが悔しがっていたとか。
茉優ちゃんがすごく慰めてくれました(笑い)。(2人で真剣勝負を)やっていないので分からないですけれど、本気で取ってもいいよと言われたら負ける気はしないです。気持ちだけで、実際にどうかは分からないですけれど(笑い)。(撮影の)テストのときは、本気で全部取っていたので、本番と違う動きをするから監督がいつも怒っていました。「テストにならないんだけど!」って(笑い)。本番は仕方がないと思うんですけれど、負けたくなくて。じゃあテストならいいだろうと思って取っていました(笑い)。
――競技かるたの世界に触れて驚きはありましたか。
おとなしいイメージだったのですが180度違いました(笑い)。文化部ですけれど、スポーツ(運動部)だと思って。もっとおとなしくて、スッと終わるものなのかなと思っていたので、最初は「練習」といわれても違和感があったんですけれど、「これは練習しないとできない!」と思って。それくらい独特の世界で、すごく深くて、広くて……。もっとその世界に染まったら、原作やかるたの魅力がさらに分かる気がして。それは感動するくらい広い世界だと思うし、(札は)全部違う意味なので、(今作に出てくる百人一首おたくの大江)奏ちゃんにはたまらないだろうなと思いますね。
――練習にけがもつきものだったと思いますが、大変だった部分は? メーキング映像では膝がこすれていましたが。
大変ではなかったです。正直にいうと楽しかった。けがとか、見えてしまうもの(膝とか)が多少あっても、それがかるたをやっている人っぽくていいという考えもあって。周りの皆さんから膝が黒くなるから頼むからサポーターしてっていわれましたけれど、「かるたっぽいんだけどなあ」って個人的には思っていました。皮が強くなって硬くなるんですけれど、なっていくのが逆にうれしくて。あえて(膝が)カメラに映るようにしたりしていました(笑い)。
――これまでさまざまな役をやってきた広瀬さんにとって、「ちはやふる」の千早はどんな人物ですか。
一番素直だと思います。真っすぐで、だけどとても自然体の女の子なので、うらやましいなと思う部分がいっぱいありました。ここまで、こうと思ったことに真っすぐ突き進む女の子は(これまで演じた役の中で)いなかった。私自身と結構似ているんですけれど、こんなに自由には千早にしかできないだろうなと思うので、そこがすごくうらやましい、いいなあと思う部分です。
ここまで素直で情熱的な女の子で、みんなから愛され過ぎていて……。正直、千早として生きることがこれまでで一番怖いと思う作品にもなりました。
――ちなみに、広瀬さん自身は新と太一のどちらがタイプですか?
正直、どちらかというと太一なんですけれども、自分が千早だったらどちらも(タイプとは)違う気がします。太一は幼なじみとして、新も選手としても人としても憧れで、競技かるたというものを教えてくれた先輩としてリスペクトしている部分がたくさんあって、その人に会って、「強くなったね」と言われたいからここまで成長できているので、そこに恋愛感情はほぼないですね。会いたいとは思うけれども、付き合うとか、好きとかいうことはないかもしれない。だから、(國村隼さんが演じる)原田先生がタイプです(笑い)。
――美容とか健康とかで気を使っていることは?
正直いうと何もないんです。仕事は年齢的に午後10時までなので、寝られているし、食べているし。いろんな人に心配されるんですけれど。大人になったら朝まで撮影とかあるんだろうな思うんですけれど、今はそれはないので、多分、周りの方の方が忙しくて大変だろうなと思って。私は普通に生活できています。
――広瀬さんを一緒に仕事したベテランの俳優の方が皆さん、「数十年に一度の逸材だ」とおっしゃっています。そのことを聞いて、ご自身ではどう思いますか。
焦ります。この間久しぶりに「怪盗 山猫」(日本テレビ系)というドラマで大人の方ばかりの中で最年少だったんです。「ちはやふる」など同世代が多かった現場が昨年は結構多くて、その中で「怪盗 山猫」は久しぶりに大人だらけの現場だったので、やっぱり皆さん違うなと思って。持っていらっしゃるものとか、皆さんが長い間経験して得られたものとか、経験値がある皆さんばかりで現実を見せつけられた気分で、(自分ができないことが)すごく悔しくて。
佐々木蔵之介さんが現場にいらっしゃって、蔵之介さんってすごいなっていう瞬間がいっぱいありました。そう思って周りの方を見たら亀梨(和也)さんもすごいし、成宮(寛貴)さんもカメラが回っていない時でも仕事に対する姿勢だったり、せりふの言い回しのこともすべて勉強になりました。別の作品で西田(敏行)さんとご一緒させていただいたときも大人だらけの現場で、一番年齢が近い人で30代ととても離れていたのですが、あのときも現場の空気感をもっと味わって、楽しんで、ちゃんと吸収しておけばよかったです。すごくもったいなかったなと思って。
同世代の方との共演はもちろん刺激的なんですけれど、年齢の違う方とはまた違う刺激が多くて。分厚さというか、(体に)しみ込んでらっしゃるものが多いので、自分もいつかそう(吸収したいと)思ってもらえるくらい、ちゃんと自分で吸収しなきゃと考えていたところです。だから(大人から絶賛されることは)怖いなと思うと同時に、これからも頑張ろうと思いました。
<プロフィル>
1998年6月19日生まれ、静岡県出身。特技はバスケットボール。2012年、オーディション「ミスセブンティーン2012」でデビューのきっかけをつかむ。姉のアリスさんも同誌のモデルを務め、同誌初の姉妹モデルとして注目される。13年、ドラマ「幽かな彼女」(関西テレビ・フジテレビ系)で女優デビュー。同年、映画「謝罪の王様」に出演。14年に結婚情報誌「ゼクシィ」の7代目CMガールを務める。15年には「海街diary」(是枝裕和監督)に出演し、数々の映画賞に輝く。16年、「ちはやふる」(上の句、下の句)で映画初主演。今後、主演映画「四月は君の嘘」(新城毅彦監督)が9月10日、出演した映画「怒り」(李相日監督)が9月17日、主演映画「チア☆ダン」(河合勇人監督)が2017年に公開予定。
(インタビュー・文・撮影:細田尚子/MANTAN)
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