話題のアニメの魅力をクリエーターに聞く「アニメ質問状」。今回は、男子フィギュアスケートの世界を描くオリジナルアニメ「ユーリ!!! on ICE」です。MAPPAの大塚学プロデューサーに作品の魅力を語ってもらいました。
ウナギノボリ
ついにクライマックス!「不適切にもほどがある!」
この作品はフィギュアスケートを通じてスケーターたちの成長や活躍を、実際のグランプリシリーズを彷彿(ほうふつ)とさせるリアリティーを保ちつつ、時には笑いあり、セクシーありで描いています。フィギュアの繊細な描写と、久保ミツロウさんと山本沙代監督が考え抜いて描かれた個性的なキャラクターたちは既視感のない魅力があると思います。スケーターたちそれぞれの関係性は、各キャラの個性を存分に生かした形で描かれていくので、一見の価値があります。
フィギュアスケートをアニメーションで描くことに立ち向かう姿勢を大事にしようと、心がけました。やはり監督が一番大事にしていた部分でもありましたので、その思いを映像化するために強い気持ちで挑みました。しかし、やはり難易度は高く、実際かなり苦労しているところではあります。結果、テレビシリーズの限界に挑むような形になってしまったので、少しやり過ぎたかもしれません。
フィギュアスケートシーンを語る上で欠かせないのは、実際に振り付けを考え、そのほとんどを演じてくれた宮本賢二先生と、それを作画するチームの中心となっている立中(順平)さん、安彦(英二)さんという2人のアニメーターの活躍です。また、それを懸命にサポートしてくれたCGスタッフの活躍もあります。最終的に作画にしているので、手描きと思われると思いますが、実はさまざまな工程のスタッフたちが協力し、試行錯誤した結果が映像となっているのです。
うれしかったことは見てくれた方々のよい反応を感じられたことです。やはり常にお客さんの反応というのは意識していて、でも確信的なものはオンエアするまでなくて、漠然とした不安はいつも付きまとっているので……。前半の話数に対しての皆様の反応にはとてもうれしく思っています。大変だったことは、常軌を逸した才能を持った人たちの要望を形にすることの難しさですね。普通じゃないから人を楽しませられるのですが、今はそれに振り落とされないように必死にしがみ付いています。
5話からいろいろなスケーターが登場します。それぞれのプログラムには音楽スタッフが魂込めて作曲した素晴らしい曲に、監督、久保さんのオーダーを完璧に具現化した振り付けを宮本先生が演じています。それをギリギリの状態で制作スタッフが必死に映像化していますので、ぜひ楽しんでいただければ。また、勇利、ヴィクトル、ユリオたち3人もそれぞれの形でグランプリシリーズを必死に戦っていきますので、その姿をぜひ応援していただければと思います。
まだ完成していないところではありますが、この作品はいろいろな意味で数年に一度、作れるか作れないか、という作品だと思っています。毎年作れと言われても僕は無理と答えます。劇中では勇利とユリオの競技人生においての刹那(せつな)的なきらめきを描いていますが、制作スタッフたちにとってもこの作品は今、このタイミングだからこそ作れる作品にしようと、制作しております。そういったスタッフ一人一人の思いが視聴してくれた方々に届くよう、最後まで必死に戦っていきたいと思います。
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