注目映画紹介:「ガールフレンド・エクスペリエンス」 せりふは自由 意外性のある実験的な映画

「ガールフレンド・エクスペリエンス」の一場面(C) 2009 2929 Productions LLC.All rights reserved.
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「ガールフレンド・エクスペリエンス」の一場面(C) 2009 2929 Productions LLC.All rights reserved.

 「オーシャンズ11」(01年)などのエンターテインメント作品で楽しませたかと思うと、「トラフィック」(00年)や「チェ」2部作(08年)などの社会的、政治的作品で考えさせるなど、守備範囲の広いスティーブン・ソダーバーグ監督による新作「ガールフレンド・エクスペリエンス」が3日、公開された。

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 エリートビジネスマンを相手にエスコートサービス、つまり高級コールガールとして働くチェルシー(サーシャ・グレイさん)の5日間をつづった物語で、リーマン・ショック直後の08年秋に米国で撮影された。

 チェルシーを演じるグレイさんは、18歳のときに女優を目指して米カリフォルニア州サクラメントからロサンゼルスに移住してきたという美女。現在までに180本以上の作品に出演した。その一方で、自身も脚本家、監督、写真家として活躍し、ニーチェの哲学書を愛読書とする才女でもある。

 実験的な映画だ。ビデオカメラを使って撮影された隠し撮りのような映像、会話もドキュメンタリーのように自然だ。それもそのはず、出演者たちは、シーンの説明と登場人物名だけが書かれた脚本を渡され、すべてのせりふは本人たちが自由に話した会話から抽出されているという。また、5日間にわたるエピソードがシャッフルされており、最後まで見終わったところで、意味不明だった部分が理解できるような構成になっている。

 ソダーバーグ監督自身が語っているように、これは、「おカネとおカネの動きにかんする作品」。その言葉通り、金融危機で揺れた世界で、カネに踊らされ、泣かされた人間の本性が見えてくる。意外性があり、興味深い作品だ。3日からシネマライズ(東京都渋谷区)ほか全国で順次公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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