NHK大河ドラマ:「平清盛」は平安時代版ゴッドファーザー “イケメン”起用なし?

 12年NHK大河ドラマが「平清盛」と発表され、NHKの磯智明チーフ・プロデューサーと、柴田岳志チーフ・ディレクターが4日会見した。磯チーフ・プロデューサーは「源氏に滅ぼされた“悪”というイメージを払しょくすることがドラマの狙い」と話し、柴田チーフ・ディレクターは「(清盛という)生きのいい、はみ出した部分もある若造がはい上がって平家というファミリーを作って頂点に立つ(ストーリー)。平安時代版の(映画)『ゴッドファーザー』みたいな感じ」と物語のイメージを語った。

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 ドラマは、平家の栄華と没落を描いた「平家物語」以前のエピソードから描かれ、清盛が瀬戸内の海賊退治で名をはせ、海賊を従え“海賊の王”となって京に上り、やがて日本の覇者になるという筋書きで、清盛死後の「壇ノ浦の戦い」までを物語にする予定。神戸などの兵庫県、広島県、瀬戸内の海など西日本が舞台になり、後白河法皇が1年を通じてのサブキャラクターとして登場。僧侶の西行が物語の重要人物となり、清盛の親友として夢を語り合う相手となる。

 磯チーフ・プロデューサーは「舞台は900年前の平安末期。保元の乱と平治の乱が中盤のクライマックス。青年時代の後白河法皇(の様子や)、西行がどうして武士をやめて出家したのか。(清盛と)源義朝との友情、ライバル関係。なぜ最終的に壇ノ浦で戦わなければならなくなったのか。そういうものが大きな軸になっていく」と見どころを説明。平清盛のキャラクターについては「主役だから平和を愛したとか、いい人だったとかではない。権力者としての孤独や葛藤(かっとう)はきちんと描きたい。(物語中で)正義と悪が入れ替わる瞬間があると思う」と話した。柴田チーフ・ディレクターは「先行きが見えない混迷の時代にさっそうと現れたヒーローを、今だからこそ描いてみたい。平家物語を超えた新しい清盛像を作っていきたい」と意気込んだ。

 またキャストについて磯チーフ・プロデューサーは「(平清盛役は)力強くて時代にきちんと向き合っていけるキャラクター、そういう人にお願いしたい。芝居の力量も含めてわかりやすさ(を求める)。ここ数年の大河とは違ったカラーになるのではないか」と話し、「ドラマ全体の躍動感を考えると(30代の)若い人でもいいのではないか。今回は“イケメン”とも言い難い」と考えを述べた。柴田チーフ・ディレクターは「12年に最も生き生きとしている人たちを総動員したい。演劇役者界も含め、それ以外からも今日本にこういう人がいるんだというキャストにしたい。(平清盛役は)血気盛んな清盛をどれだけ伝えられるか、そういう人に演じてもらいたい」と希望を話した。

 大河ドラマは12年に50年目を迎え、同作が51作目。平清盛が主役となるのは、1972年の「新・平家物語」以来40年ぶり。清盛役は「新・平家物語」では仲代達矢さんが演じ、「草燃える」(79年)で金子信雄さん、「義経」(05年)で渡哲也さんが演じた。脚本は連続テレビ小説「ちりとてちん」などの藤本有紀さんで磯チーフ・プロデューサーは「(藤本さんは)貴族、武士、王家(天皇家)50人ぐらいのメーンキャラクターがいる。キャラクターとストーリーを巧みに組み合わせてエンターテインメントにしてくれる」と起用理由を語った。11年夏、クランクイン予定。12年1月から放送。(毎日新聞デジタル) 

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