インタビュー:「特攻野郎Aチーム THE MOVIE」監督に聞く 「戦車が空を飛ぶのは僕のアイデア」

「特攻野郎Aチーム THE MOVIE」のジョー・カーナハン監督
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「特攻野郎Aチーム THE MOVIE」のジョー・カーナハン監督

 80年代に人気を博した米テレビドラマを、四半世紀の時をへて映画化した「特攻野郎Aチーム THE MOVIE」が20日、全国で公開された。PRのために来日したジョー・カーナハン監督に話を聞いた。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)  

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 「特攻野郎Aチーム THE MOVIE」は、ジョン・“ハンニバル”・スミス大佐(リーアム・ニーソンさん)をリーダーに、“フェイス”ことテンプルトン・ペック中尉(ブラッドリー・クーパーさん)、卓越したドライビングテクニックを持つモヒカン刈りのバラカス軍曹(クイントン・“ランペイジ”・ジャクソンさん)、イカれ気味のパイロットのマードック大尉(シャルト・コプリーさん)の、米軍特殊部隊4人組が、米ドル紙幣原版を盗んだぬれぎぬを着せられ、その汚名をすすぐために黒幕を暴こうと戦いを挑むアクション作だ。カーナハン監督自身、オリジナルのテレビドラマのファンだったそうで、「オリジナルのAチームらしさを踏まえつつ、そこに4人の仲間意識や連帯感を表現することでリアリズムとのバランスをとることに腐心した」と話す。

 −−映画化の話が来たときに、まず思ったことは?

 中には、オリジナルのテレビ番組を軽視して、面白おかしく描く映画もあるけど、僕自身、それは絶対にしたくなかった。番組が持つ古きよき部分を尊重しつつ、同時に、ユーモアや奇想天外な部分を再現したいと思ったんだ。

 −−これまで「NARC ナーク」(02年のドラマ)や「スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい」(07年)といった作品を監督なさっていますが、今回の作品が最も製作費が高かったと思います。その額を聞いてどう思われましたか?

 例えば、100万ドルを目の前に積まれて、それを使わなければならないと言われたらそれこそおじ気づくだろうけど、そうはならなかった。というのも、往々にして、自分のアイデアを話すと予算管理の担当者から「この額でそれはできる」とか、「ここの予算は100万ドルしかないからその範囲内でやってくれ」と言われ、「できない」となると、「どういうシーンができるのか」と一から組み立て直すことになるんだ。やりたかったけどできなかったこと? もちろんあるよ。例えば、パイク(今作で共同脚本も担当したブライアン・ブルームさん)がメーンでカーチェイスするシーン。それには大掛かりなセットが必要で、断念せざるを得なかったんだ。

 −−戦車で空を飛ぶというのは誰のアイデアですか?

 僕だよ! たとえ僕が思いついていなかったとしても、僕だと言い張るけどね(笑い)。

 −−実際に可能なことなのでしょうか?

 ノー(笑い)! というか、可能かどうかわからないというのが正直なところ。重さやら落下速度やらの物理の方程式に当てはめた計算は誰もしなかったからね。だから、大砲を撃つ衝撃で戦車が動くかどうかはわからない。やってみるわけにもいかないしね。でも、あれはとても「Aチーム」らしいアイデアだと思ったんだ。だからできなくてもいいや、「Aチーム」なんだから、と入れることにしたんだ。

 −−ハンニバル役のニーソンさんとのお仕事はいかがでしたか。

 実は、今度また別の作品、それは今回の作品や、その前の彼の出演作「96時間」よりはるかに肉体的にハードな内容なんだけど、それに出てもらおうという話が持ち上がっているんだ。それくらい彼とはいい関係を結ぶことができた。彼はシリアスな俳優として知られているけど、同時に、普段からジョギングをしたり、ウエートリフティングをしたりと体を鍛えていて、58歳らしからぬ素晴らしい肉体の持ち主なんだ。彼自身もアクション映画に進出することは歓迎しているようだし、映画ファンも身軽に動くリーアム・ニーソンを見て楽しんでいると思うよ。

 −−聞くところによると、ニーソンさんはたばこをやめていて、今回のトレードマークの葉巻をくわえることに抵抗を感じていたとか。

 確かに、最初、彼は(葉巻をくわえることを)すごく嫌がっていた。だからゴム製の葉巻で代用しようとしたんだけど、くわえたら犬のふんみたいに見えて(笑い)、「それはやめたほうがいい」と僕が言ったんだ。次に、ハーブの葉巻も試してみたけど、それも燃え方がリアルじゃなかった。ところが幸いにして、撮影はカナダで行われたんだけど、あそこでは、アメリカでは(外交関係上)手に入らないキューバ産の葉巻が手に入るんだ。キュ−バの葉巻といえば世界最高峰。「それだったらいいよ」と彼は吸ってくれたよ。禁煙して16年だったらしいけど、この映画で吸い始めてしまったようだよ。今はもうやめたみたいだけどね。

 −−メキシコの病院のシーンには監督自らが出演しています。

 ちょっぴりね。実は、僕の妹も看護師役で出ているんだ。あと父も。「Aチーム」に審判を下す判事の1人が父なんだ。娘もバグダッドのシーンでブルカ(イスラム教徒の女性が使う顔を覆うベール)を着けて出ているし、息子は物ごいする子どもの役で出ている。母だけ役がなくて出ていないけど、そのことを彼女は怒っていたよ(笑い)。

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 来日は今回が2度目。「いつか日本で、日本人のキャストとスタッフで映画を撮りたい」と話していたカーナハン監督。ストーリーの構想は既にあるという。そちらも楽しみだが、その前に今回の映画をPR。「たぶん、この夏一番楽しめる映画だと思う。ぜひ見てほしい」と胸を張った。その言葉がうそでないことは、映画を見た人なら分かるだろう。

 <プロフィル>

 1969年、米カリフォルニア州生まれ。97年、自身で脚本も書き出演した「ブラッド・ガッツ」(未公開)で監督デビュー。02年、警察ドラマ「NARC ナーク」(02年)が米サンダンス映画祭でプレミア上映され、絶賛された。インディペンデント・スピリット・アワードの最優秀監督賞にもノミネートされた。07年に映画「スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい」では、度肝を抜くアクションと構成で映画ファンを魅了した。今作でも監督のほか脚本も担当している。

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