1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦めマンガを紹介する「はじめの1巻」。今回は、岡山県倉敷市の観光ポスターにもなって話題となったマンガで、若者たちの青春を描いた拓さんの「めくりめくる」(672円)です。
ウナギノボリ
「光る君へ」より昔! 最も古い時代の大河ドラマは? 1976年「風と雲と虹と」のあらすじ
生徒委員会の仕事に追われる夏と、花見に行こうと何度も誘う咲。試験期間中に、海釣りに行こうとする大地と長谷川。友達がほしいと願って神社にお参りする内気な少女の綾戸。毎回主人公が変わり、思春期の微妙な心の動きを表現しながら、青春の日々をみずみずしく描いているマンガだ。
この作品は、瀬戸内海に面した岡山県倉敷市を舞台に少年少女たちの情景を描いた青春ストーリーになります。青春真っ盛りな10代も、かつて10代だった方々にも、このマンガを通じて「何もないと思っていた自分の青春も、実はとても素晴らしい瞬間なのだ」と知っていただければ幸いです。
拓先生は、本作が初連載&初単行本でして、同人誌等で作品を拝見し、その雰囲気というか“空気感”に感激した勢いでメールしたのがきっかけです。その後、打ち合わせで岡山へうかがい、先生から「少年少女たちを主人公にした物語を描いてみたい」と提案され、それなら「ぜひ、この美しい地元を舞台に描いてください」とお願いいたしました。−−なんて打ち合わせならすてきかもしれませんが、実際は「倉敷ってイイね! いっそ倉敷を舞台に『アルプスの天○水』ぐらいさわやかな作品描こうよ」とか言ってました(笑い)。
ただし、制作にあたっては作品の雰囲気を重視して編集サイドからは余計な口出しはせず、ほぼすべて、拓先生がアイデアから完成まで1人で手掛けられております。現在、物語の舞台となっている倉敷市観光課の方々と「『めくりめくる 倉敷』合同観光キャンペーン」を実施しておりますので、そちらも応援お願いいたします。
倉敷の落ち着いた街並みを背景に、女の子の気持ちがとても可愛らしく描かれています。中でも注目したのは「雨の日は髪がふくらんで嫌い……」というエピソード。このお話では、好きな彼が「(髪がふくらむのは)おれはうらやましいけどなあ」と言ってくれるのですが、それだけで「雨の日も好きかも」と思える彼女の素直さ、純粋さの表現が心に響きます。
巻頭カラーで描かれた、各話の登場人物がすれ違うシーン。読み終わってからもう一度見ると、自分も物語に入り込んだような、不思議な感覚があります。ちょっとした日常を「すごく幸せ」に感じるマンガです。
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