注目映画紹介:「英国王のスピーチ」 吃音を抱えた王と矯正専門家の固い友情を描いた

「英国王のスピーチ」の一場面 (C) 2010 See−Saw Films.All rights reserved.
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「英国王のスピーチ」の一場面 (C) 2010 See−Saw Films.All rights reserved.

 28日(日本時間)に発表される米アカデミー賞で、作品賞、監督賞を含む12部門でノミネートされている「英国王のスピーチ」(トム・フーパー監督)が26日から全国で公開された。上品で洗練されていて、ちょっぴりの皮肉を潜ませた、英国映画(オーストラリアとの合作ではあるが)らしい作品だ。

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 兄エドワードが、民間の離婚歴のある女性との愛に走ったことから王位の座に就くことになったジョージ6世。吃音(きつおん)に悩む彼は、オーストラリア出身のスピーチ矯正の専門家ライオネルの元に通っていたが、なかなか上達せず、その上、癇癪(かんしゃく)持ちでもあったため、ライオネルと言い争いになることがしばしばあった。だが国王となった今、頼れるのはライオネルしかいない。くしくも時は、第二次世界大戦に突入しようとしていた……という王室の裏側を描いたストーリー。

 コンプレックスを抱えた王と、それを矯正しようとしたスピーチセラピストの、奇妙な、しかし固い友情の物語である。同時に、それぞれを支えた妻と子どもたちのファミリーの物語でもある。ジョージ6世を演じたコリン・ファースさん、ライオネル役のジェフリー・ラッシュさんは、アカデミー賞のノミネートにふさわしい演技を見せるが、むしろそれ以上に心引かれたのは、ジョージの妻エリザベス、現在のエリザベス女王の母を演じたヘレナ・ボナム・カーターさんだ。夫を立てて、温かい手を差し伸べながら、押すところは押し、全体としてはどっしりとした印象の人物を演じた。

 実在のエリザベスは、02年に101歳という高齢で亡くなったそうだが、娘が王位に就いてからは、「皇太后」として国民の圧倒的な人気を得ていたという。ボナム・カーターさんは、最近では、「アリス・イン・ワンダーランド」(10年)での赤の女王など、くせ者役のイメージが強いが、今回の良妻賢母の役によって、改めて芸達者であること世間に認めさせた。26日からTOHOシネマズシャンテ(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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