京極夏彦さん原作の劇場版3Dアニメ「豆富小僧」の完成試写会が14日、丸の内ピカデリー(東京都千代田区)で行われ、主人公の豆富小僧役を演じた深田恭子さんらが舞台あいさつを行った。深田さんは「豆富ちゃんは今自分にしかできないことは何だと必死に考えて、勇気ある行動に出ます。このような時、この作品がみなさんにとっていろいろなことを思うきっかけになればと思います」と作品にかける思いを語った。
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「豆富小僧」は、京極さんの小説「豆腐小僧双六道中ふりだし」(角川文庫)を、劇場版アニメ「あらしのよるに」の杉井ギサブロー総監督が映像化。人間と妖怪が共に暮らしていた江戸時代、盆に載せた豆腐を持つだけがとりえの豆富小僧は、まぬけな見た目と弱虫な性格で人間を怖がらせられず、父で妖怪総大将の見越し入道から怒られてばかりだった。なぐさめてくれるのはお目付け役の達磨だけという中、母を捜す旅に出た豆富小僧の目の前に母が現れるが、それは妖怪の敵タヌキの仕業で、達磨と2人でお堂に閉じ込められてしまう。にらめっこをしながら外に出る時を待っていた2人は、10万回戦ったとき、ごう音とともに外に出るが、そこは現代の日本だった……という物語。
イベントには、深田さんのほか、達磨を演じる武田鉄矢さん、袖引き小僧を演じる小池徹平さん、人間の女の子・室田アイを演じる平野綾さん、アイの母・室田茜を演じる檀れいさん、豆富小僧の父・見越し入道を演じる松平健さん、702番狸を演じるはるな愛さん、京極さん、河原真明監督、杉井総監督が登場した。
京極さんは、映画化について「長い道のりでした。この子が人気があったのは100年くらい前なんです。よかったね」としみじみと着ぐるみに話しかけ、「不思議なことや不可解なこと、人間ではどうしようもないことを笑い飛ばすために妖怪がいる。つらい時、悲しい時に必要なのは笑顔だと思う。妖怪はそれを与えてくれるゆとりそのものなので、この時期にアニメで復活したことは意味がある」と話した。杉井総監督は「この作品は自然に対する畏敬の念を失ってはいけないという思いを入れたいと思ったが、いまや我々が受けた自然の驚異は、とうに数百倍も現実として受け止めている」と真剣な面持ちで語り、「ファミリー映画なので、小さいお子さんたちとのコミュニケーションの材料に使っていただければ」と作品をPRしていた。
映画は、29日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほか全国で3D・2D同時公開。映画の収益の一部と劇場に置いた募金箱に集まった募金はすべてFNSチャリティーキャンペーン事務局を通して寄付される。(毎日新聞デジタル)
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