名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
東日本大震災による放送休止から異例の扱いで最終回まで一気に放送されたオリジナルアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」。最終回の特別放送は、深夜3時台にかかわらず2.3%(関西地区、ビデオリサーチ調べ)と高視聴率をマークし、27日発売のブルーレイディスクも予約段階でランキング上位を独占しており、ヒットが確実視されている。多くのアニメが放送される中、なぜこのアニメが騒がれたのか。ヒットの要因に「秘密」「魔法少女」「裏切る」という三つのキーワードが浮かび上がってきた。(毎日新聞デジタル)
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「まどか☆マギカ」は、幸せな家族に囲まれた普通の少女・まどかが、転校生のほむらに厳しいまなざしを向けられ、意味深な言葉を投げかけられる場面から始まる。そしてまどかは、ほむらが追いまわす謎の生き物を助け、不思議な空間に迷い込んでしまい何者かに襲われるが、一人の魔法少女マミに救われる。マミから魔法少女になることを提案されたまどかは、一時その気になりかけるが、マミの予想もしない結末にショックを受ける。だが、まどかの親友さやかは、願いをかなえるために魔法少女になってしまう。望みをかなえ、強大な力を持つ魔法少女には、ある秘密が隠されていた……というストーリーだ。
◇事前に情報出さず
このアニメは、1月の放送開始前は本命的な存在ではなかった。制作陣は、「化物語」など奇抜で演出力のある新房昭之監督と、アニメ制作会社シャフト、ゲーム「ファントム」などダークでシリアスな物語に定評のある虚淵玄さん(脚本)、マンガ「ひだまりスケッチ」などほのぼのとした絵が人気の蒼樹うめさん(キャラクター原案)。制作発表時は異色の組み合わせに注目が集まったが、その後はそれほど話題になることはなかった。制作陣がオリジナル作品のストーリーを視聴者に楽しんでもらおうと、ストーリーなどの情報を事前に出さなかったためだ。
そして放送が始まり、アニメファンの心をわしづかみにしたのは第3話だ。魔法少女の一人が戦いに敗れてむごい結末を迎えるシーンで、第4話ではまどかが涙をボロボロと流して感情をあらわにした。ここで、見た目は可愛らしいアニメだが、実は緻密(ちみつ)な設定のダークファンタジーという方向性が明確になった。制作に携わったアニプレックスの岩上敦宏プロデューサーは「あらすじを発表しないのは秘密主義のようで心苦しいところもありましたが、先の読めないアニメオリジナル作品を100%楽しんでいただきたいという気持ち」と明かしている。一歩間違うとアニメがまったく注目をされずに終わる危険もあったが、その「賭け」は見事に的中した。
◇魔法少女の設定活用
アニメに詳しい季刊誌「オトナアニメ」のスーパーバイザー・多根清史さんは「お決まりの魔法少女の設定を見事に活用した」と分析する。多根さんによると、オリジナルアニメの弱点は、設定を視聴者にのみ込ませて理解させるのに相応の時間を費やすことだという。「まどか☆マギカ」は、魔法少女という定型の設定を使うことで余分な説明を省略し、ストーリーをスピーディーにしているのだという。多根さんは「普通のオリジナルアニメでは、3話でサプライズを組み込むのは無理。魔法少女だからこそ可能だった」と話す。
◇予想裏切る展開
「魔法使いサリー」や「魔法の天使クリィミーマミ」「美少女戦士セーラームーン」「プリキュア」シリーズなど、正統派の魔法少女ものとは違うダークファンタジーにした戦略も的中した。「魔法少女ものは明るいファンタジー」というファンの先入観がある設定を逆手に取り、視聴者の予想を次々と裏切った。また、後半には主人公のまどかとは別のヒロインにスポットが当たり、ファンの間では「どちらが本当の主人公か」と論争になるほどで、多くのアニメファンの注目を集めた。まさに「計算通りのサプライズ」だったというわけだ。
こうして話題を呼んだ同作品はブルーレイディスクも好調で、アマゾンの販売ランキングでは発売前の予約(25日時点)で、1~6巻すべてが6位までの上位を独占しており、初週のブルーレイの販売数に注目が集まっている。1月期のアニメでは2万枚が最高で、過去には「化物語」の5万枚、「ガンダム」シリーズの8万枚という記録がある。偉大な“先輩”にどこまで迫れるか。(毎日新聞デジタル)
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