はじめの1巻:「つなぐと星座になるように」 “わけあり女子”が単身上京 恋に揺れる乙女心

雁須磨子さんのマンガ「つなぐと星座になるように」(講談社)1巻の表紙
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雁須磨子さんのマンガ「つなぐと星座になるように」(講談社)1巻の表紙

 1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦めマンガを紹介する「はじめの1巻」。今回は、女性向けマンガ雑誌「Kiss」(講談社)で連載、“わけあり”で単身上京した女性・瑠加の恋に揺れる乙女心を描いた雁須磨子(かり・すまこ)さんのマンガ「つなぐと星座になるように」です。

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 恋人に浮気された上に金銭トラブルを抱えてスーツケース1個で単身上京した瑠加。上京早々、ヒーローのコスプレをした男とトラブルになる。その後、目当てにしていた姉・水美の部屋にやっとたどり着くが、そこには水美の恋人・黒田も住んでいて……という物語。瑠加、水美、黒田をはじめ、“コスプレ男”や瑠加がバイトを始めたメイド喫茶で知り合った女友だちなどがそれぞれの事情を抱えて生きる姿や、瑠加の心にさまざまな恋の片りんがさざ波を立てる様子が描かれていく。

 ◇「Kiss」編集部 池田雅行さん 「独特の“雁節”がある」

 雁先生が増刊の隔月月刊誌「Kiss PLUS」で連載していた「いばら・ら・ららばい」を担当させていただいていました。担当者というか、もう一読者として、その独特で微妙な言い回し、表現力に何度も胸を「ずきゅーん!」と撃ち抜かれる経験をしていまして、ぜひとももっと多くの読者にこの「ずきゅーん!」を味わってもらいたいなと、かなり強引に「Kiss」本誌でも連載を始めてもらいました。

 1巻の帯の推薦コメントを(「Kiss」で連載中のマンガ家の)東村アキコ先生にいただいたのですが、そのコメントが「押されたことのないツボを押しまくられる快感……」。思わず「まさにそれだーっ!!」と叫んでしまいました。ほかの作品では決して味わえない独特の“雁節”があるのです。

 小さな嫉妬(しっと)心、本音が見え隠れする何気ない一言、複雑に交差する人間模様。決して派手さはないけど読み込めば読み込むほど味わい深いスルメ?のようなマンガです。ぜひ手にとってお読みください。乙女心の伝道師、雁須磨子先生に“はまる”こと間違いなしです。ちなみに男性諸君にもお勧めです。

 ◇書店員の推薦文 青森・伊吉書院類家店の中村深雪さん「どんな星座が描かれるか伏線があちこちに」

 物語のキーワードとして特撮ヒーロー、メイドなど、ちょっとマニアな要素も盛り込まれているのですが、物語の中の日常の一部として、意外なほどにさらっと読まされてしまいました。タイトルがまた印象的でとても美しい言葉ですね。大小のさまざまな星のように個性を持ったキャラクターたちがつながることで、その関係性にどんな星座が描かれることになるのでしょうか。そのための伏線があちこちに張られていて、徐々にからみ合い、そしてすごく気になる引き! もう、次巻も読むしかありません!

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