乙葉しおりの朗読倶楽部:第22回 森鴎外「舞姫」 エリスのモデルは?

「阿部一族・舞姫」作・森鴎外(新潮文庫)の表紙(左)と乙葉しおりさん
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「阿部一族・舞姫」作・森鴎外(新潮文庫)の表紙(左)と乙葉しおりさん

 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに50万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが「朗読倶楽部」の活動報告と名作を紹介する「乙葉しおりの朗読倶楽部」。第22回は、森鴎外「舞姫」だ。

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 みなさんこんにちは、乙葉しおりです。

 5月20日は世界計量記念日です。

 計量というとつい重さのことを思い浮かべてしまいますが、こちらの計量記念日は長さを測る単位、メートル、センチなどの方ですね。

 今から130年以上も前の1875年のこの日、フランスのパリで世界17カ国の署名によってメートル条約が締結されたんです。

 なお、この17カ国に日本は入っていません。

 ご存じの方も多いと思いますが、このころの日本では、「尺貫法」という単位が使われていました。

 例えば、私の大好きな「銀河鉄道の夜」では、崖の上に植えられたとうもろこしを見つけるシーンでこんな一文があります。

 「とうもろこしだって棒で二尺も孔(あな)をあけておいてそこへ播(ま)かないと生えないんです」

 一尺は約30.3センチですから、およそ60センチもの深さの穴ということになります。

 単位が分かると、お話もより深く理解できるようになりますよね(*^^*)

 このように1927年ころに書かれたといわれている「銀河鉄道の夜」でも、尺貫法が使われていますが、日本では条約締結10年後の1885年に加盟していたにもかかわらず、メートル法は一般的ではなかったことが分かります。

 その後、尺貫法からメートル法に完全に統一されたのは1966年といいますから、それだけ日本に尺貫法が浸透していたんですね。

 ではここで、朗読倶楽部のお話、倶楽部の実績づくりについての続きです。

 勝算があるという部長さんの提案する実績づくりの方法……それはなんと、テレビ局が主催する学生放送コンテストの全国大会に出ることでした。

 コンテストの中に朗読部門があり、大会側で指定した本の中から特に表現したい部分を決めて、2分以内の長さで朗読するというのです。

 「2分なら教科書を読む程度の長さだからなんとかなる!」というのが部長さんの勝算だったようですが、私は頭の中が真っ白になってしまいました。

 あがり性の私が、全国からたくさんの人たちが集まる会場で、たった一人で朗読する……想像するだけでも気が遠くなりそうです(>_<)

 ここで、ずっと黙って様子を見ていた先生がさらにとんでもない提案をします。

 「大物1点に賭けるのは不安がある、他の大会にも応募しておいた方がいい」と。

 こうして、倶楽部結成4日目にして、合計五つもの大会に応募することになってしまったのでした。

 果たして、まだ満足に朗読もできない私たちはどうなってしまうのでしょうか?

 ……えっと、もちろん今も朗読倶楽部が存続している以上、どうにかなったということなんですけど、そこはまた機会があればお話しします(^−^)

 それではまた次回もよろしくお願いしますね(*^^*)

■しおりの本の小道 森鴎外「舞姫」

 こんにちは、今回ご紹介する一冊は、森鴎外さんの「舞姫」です。

 後に発表される「うたかたの記」「文づかひ」と共に「ドイツ三部作」と呼ばれています。

 このお話は文語体で書かれていますので、そのまま読むと分かりにくい部分があるかもしれません。

 そんな読みにくくて敬遠されてしまう方のために、口語訳された本も出版されているんですよ。

 原文と合わせて読めば文語体の勉強にもなりますし、一度読み比べてみることをお勧めしたいです(^−^)

 ドイツに官吏として留学した太田豊太郎さん。

 最初は母親や上司の期待に応えようと勤勉な生活を送っていたのですが、3年もたつとその期待の操り人形となっている自分に疑問を持つようになります。

 以前より反抗的になった彼に対し、次第に上司や仲間の日本人留学生たちからは、煙たがられる存在になっていきました。

 そんなある日のこと、豊太郎さんは古びた教会の前で立ちすくみ泣いている女の子と出会います。

 エリスと名乗った彼女は、亡くなった父親のお葬式を出すお金がなく、悲しみに暮れていたのでした。

 この葬儀代を肩代わりした縁から2人はお付き合いするようになるのですが、それを見た同僚が上司にスキャンダルとして報告したために、豊太郎さんは官吏の職を追われることになってしまったのです……。

 1890年に発表されたこのお話は、森鴎外さんのドイツ留学体験を下敷きに物語として執筆されています。

 エリスさんのモデルが誰なのかは、さまざまな説がありますが、ドイツから帰国した森鴎外さんを追って来日した記録が残っていて、実在された方なのは間違いないようです。

 このお話、実はドイツに残った資料をもとに最近新説が発表されたばかりで、今なお盛んに研究家の間で議論されているんですよ。

 お話を読んで興味がわいた方は、エリスさんのモデルが誰か、思いをはせてみるのもいいのではないでしょうか(*^^*)

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