設楽統:「片瀬那奈さんを攻めてみたい」“主役待遇”にご満悦  初主演映画について語る

「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」に主演した設楽統さん
1 / 1
「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」に主演した設楽統さん

 人気お笑いコンビ「バナナマン」の設楽統さんの初主演映画「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」(豊島圭介監督)のDVDが25日に発売された。裁判の傍聴にはまっていく「傍聴マニア」の目を通して、さまざまな人間ドラマが展開する今作について、主演を務めた設楽さんに話を聞いた。(毎日新聞デジタル)

あなたにオススメ

 本作の原作は、北尾トロさんの同名エッセー集で、松橋犬輔さんによるマンガ版(新潮社)は、09年に向井理さん主演でテレビドラマ化されるなどして人気を集めた。ドラマ「女優たちの反乱」でギャラクシー賞を受賞し、バラエティー番組の放送作家としても知られるアサダアツシさんが、映画版の脚本を執筆し、「ソフトボーイ」(10年)の豊島監督がメガホンを取った。

 三流ライターの南波タモツ(設楽さん)は、映画プロデューサーの須藤光子(鈴木砂羽さん)から、“愛と感動の裁判映画”の脚本を依頼されたのをきっかけに、裁判の傍聴を体験する。ところが法廷は、大根の大きさをめぐって友人を撲殺したまじめなサラリーマンや、「歯が痛くて」覚醒剤を打ったと主張する薬物中毒の女など、“愛と感動”とはほど遠い事件の裁判ばかり。そんな中、タモツは西村(蛍雪次朗さん)ら傍聴マニアの「ウオッチメン」と知り合い行動を共にするようになるが、あるとき法廷で美人鬼検事のマリリンこと長谷部真理(片瀬那奈さん)から「楽しいでしょうね。他人の人生、高みの見物して!」ときつい言葉をかけられる……というストーリー。

 設楽さんに映画主演のオファーがきたときの気持ちを聞くと、「うそだと思った。ドッキリかと思った」と驚いたという。役作りも「今回演じる役自体が、初めて裁判の傍聴に行くところから始まるので、自分と同じような状況ということもあって、(演技しようと)構えて入ってはいません」とあくまでも素のままで撮影に臨んだという。

 裁判を傍聴するのも初めてで、実際に傍聴したときは「怖かった」という。「すぐ先に被告がいるからショックでした。カルチャーショックというか」と言いつつも、だんだん裁判を傍聴しているうちに慣れてきて「(犯罪という)おかしなことをやっている人たちをまじめに裁いている様子が、不謹慎だけど、笑っちゃう感じでした」と面白みを感じ始めた。「事件の説明をするときに、万引きの仕方も『両手で(商品を)持って店を出て−』のような、『それは捕まるだろう!』というのがあって……」と思わず心の中でツッコミを入れてしまったという。

 そんな“初体験”ばかりの撮影だったが、お笑いと俳優の違いを聞くと「コントは自分たちで脚本を書いているので、できなかったり覚えられなかったらカットできるけれど、俳優はそうもいかない。映画では求められるところを出していけたらと思う。コントと映画では“とっかかり”が違いますね。俳優は難しい」としみじみ。

 難しいと言いつつも撮影期間の1カ月間は「楽しかった」と振り返る。「待遇がいいんです。(主役のため)作品に出演するシーンも多く、いすを差し出してくれたり、『お茶をどうぞ』と言われたり……『何? この感じ』みたいな、気持ちよかった」と待遇のよさにご満悦だった。

 そして、撮影中にもう一つ、設楽さんが楽しかったシーンは共演の片瀬さんとの“妄想シーン”だ。被告人という設定の設楽さんを片瀬さん演じる検事が追及するシーンで、片瀬さんについて「すてきだった、スタイルがいいし」とうれしそう。片瀬さん演じる検事は“ドS”な役柄だが設楽さんは? 「自分では(“ドS”かどうかは)分からないけれど、(相方の)日村(勇紀さん)を攻めるのは(片瀬さんより)おれの方がすごい!」と言い切る。そして「片瀬さんも攻めてみたいし、(実際に劇中で)攻められたのもよかった」と語った。

 現在出演中のドラマ「ハガネの女」(テレビ朝日系)など俳優としても活躍の幅を広げている設楽さん。今後については「主演なんて最初で最後だと思う」と言いつつ、俳優については「違うキャラクターを演じることが楽しい。(俳優の)話が来たらやらせてもらいたい。今までのドラマでは『こんな感じでいいのかな』と思いながら演じていたが今回は『こうしてみようかな』と楽しく演じられた」と明かし、「(本作での豊島監督の設楽さんに対する評価は分からないが)監督の作品にまた呼んでくれるようだったら『今回の作品がオッケーだったのかな』と、そのときに思うと思います」と謙虚に語った。

 裁判員裁判がスタートして丸2年がたち、裁判への関心は高まっているが、本作は被告や弁護士、検事といったいわゆる「当事者」ではなく、傍聴人という「第三者」の目線で描かれた異色の作品。豊島監督が「人が一生懸命何かをやっているのを遠くから見てにやっと笑ってぼそっと一言言う、そんな主人公を考えたとき設楽さんなら成立すると思った」と語った通り、一歩引いた目線でコメントする設楽さんの存在が一層引き立つ作品に仕上がっている。DVD「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」は25日発売。3990円。

 <プロフィル>

 したら・おさむ。1973年4月23日生まれ。埼玉県出身。日村勇紀とお笑いコンビ「バナナマン」を結成。設楽さんの書く緻密な脚本と日村さんの強烈なビジュアルが醸し出す独特の世界観で、毎年夏に開催される単独ライブではクオリティーの高いステージを展開。設楽さん自身は、バラエティー番組に多数出演するほか、映画、テレビドラマ「流星の絆」(08年)、「Mr.BRAIN」(09年)などにも出演し、俳優としても高く評価されている。09年から「シネ通!」(テレビ東京)のナビゲーターを担当。10年5月からは「さきっちょ☆」(テレビ朝日)のメーンMCを務め、7月からこれまでのレギュラー番組に加えバナナマンとしてバラエティー番組「コレってアリですか?」(日本テレビ系)のレギュラーを務めるなどますます存在感を高めている。初めてハマったポップカルチャーは「機動戦士ガンダム」。アニメも映画も大好きでガンプラを買うために朝4時からお店の前に並んでいたほど。「あんなハマったのは『ガンダム』が初めて」という。

映画 最新記事

MAiDiGiTV 動画