米国のゲーム展示会「E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)」が今年も7~9日(米国時間)に開かれた。90年代は家庭用ゲームとPCゲームが中心だったE3も、オンラインゲームやソーシャルゲームの登場で様変わりし、今回、ゲームメーカー3社の戦略も分かれた。
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E3は流通業者向けの新作ソフト発表会と商談会として95年にスタート。主催は大手ゲームメーカーからなる業界団体の米エンターテインメント・ソフトウェア協会(ESA)だ。しかし時代を経てゲームの供給媒体が変化すると共に、E3の性質も変わってきた。
00年代に入るとアジア圏のメーカーがPCオンラインゲームと共に上陸。前後して携帯電話メーカーや携帯アプリメーカーがブースを構え、実体のないデータとしてのゲームをアピールしはじめた。昨年はゲームの画像をインターネットで瞬時に配信して遊ばせるクラウド・ストリーミング型と呼ばれる企業が登場。今年はブラウザーゲーム向けのエンジンメーカーがソーシャルゲーム開発者の注目を集めるなど、ますます多様化している。
ESAが毎年E3にあわせて配布する業界報告書(エッセンシャル・ファクト)は象徴的だ。96年から毎年、市場規模の推移をグラフで掲載してきたが、今回からアイテム課金やダウンロード販売などの市場規模の数字が上積みされた。09年までさかのぼって上乗せされており、そのため08年に117億ドルだった市場は、売り上げベースで09年は160億ドルと急増、10年も159億ドルと横ばいで推移している。一方、パッケージゲームだけでみると売上額は、09年が105億ドル、10年には101億ドルと2年連続で減少している。
これに対してゲームメーカー3社の戦略は分かれた。任天堂は新型ゲーム機「Wii U」を発表し、世界最大のソフト会社エレクトロニックアーツと協力関係をアピールした。ソニー・コンピュータエンタテインメントは、PS3向け立体視ゲームの推進と、新型携帯ゲーム機「プレイステーション・ヴィータ」による携帯ゲーム機市場の立て直し。マイクロソフトはXbox360向けの体感ゲーム機器「キネクト」を軸に、対応ゲームのさらなる推進だ。三者三様の戦略だが、共にパッケージゲーム市場の拡大という共通の思惑がある。
だがゲームの供給媒体や内容は、ユーザーには関係がない。おもしろいゲームが増えれば市場は活性化するし、つまらないゲームが増えれば衰退するだけだ。ゲーム機も供給媒体も価格帯もまちまちなコンテンツが市場にあふれる中で、ニーズをつかみ損ねた企業が脱落し、新興企業が勃興する。E3は世界中からあらゆるゲームコンテンツが、富と名声を求めて集まるメジャーリーグのような存在かもしれない。
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