はじめの1巻:「はちみつカフェ」 怪力娘のほのぼのストーリー “いい味”のサブキャラにも注目

ふじのはるかさんのマンガ「はちみつカフェ」(芳文社)1巻の表紙
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ふじのはるかさんのマンガ「はちみつカフェ」(芳文社)1巻の表紙

 1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦めマンガを紹介する「はじめの1巻」。今回は、「まんがタイムファミリー」(芳文社)で連載、正義感あふれる怪力娘が人気カフェでアルバイトをする日々を描いたふじのはるかさんのマンガ「はちみつカフェ」です。

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 蜂谷まりもは、上司のパワハラに悩んでいた同僚を助けたが、勢い余って会社の備品を破壊。入社3カ月目でクビになった上に、備品代の56万円の借金を背負ってしまう。職探し中だったまりもは同級生の結婚式で学生時代のあこがれだった先輩・月原音と再会。先輩が妹の蜜と経営しているカフェ「メタセコイア」でアルバイトを募集していることを知り、まりもは「先輩と一緒に働くため」という動機でアルバイトを始める。まりもを軸に、店員や常連客との日々を描くほのぼのストーリーだ。

 ◇◇編集部からのメッセージ まんがタイム編集部 橋本和典さん「ひろえさんの出現でどきどき感増幅」

 この「はちみつカフェ」という作品を依頼するにあたっては、雑誌の表紙もこのキャラでお願いしたいということから、主人公は女性、しかもひと目で魅力にあふれ、個性を持ち合わせた清潔感のあるキャラという“お願いし放題”の注文を出したことを思い出します。

 −−で、結果的に誕生したのが、蜂谷まりもという、力は強くて押しも強いけれど思いやりのあふれる魅力的なキャラでした。彼女を話の舞台となる、こだわりの野菜とカフェの喫茶店「メタセコイア」のすてきな月原兄妹の元へと送り込み、まりもと対照的な月原兄妹と絡むことで、お互いの個性がうまくにじみ出ました。この兄妹も魅力的です。でも何といっても“超絶品”なのが1巻目の途中から突如、どどーんと登場する元シェフのひろえさんです。弾力があって、ふてぶてしさがわき出てくる彼女の出現で話はどんどん動き出すしどきどき感も増幅されていきます。

 ふじのさんはもともと主人公の周りのサブキャラに“いい味”をだす人物を登場させるのがうまいけれど、このひろえさんは存在感を含めて、ふじの作品の中でも私個人のナンバーワンの“魅惑キャラ”です。楽しめること間違いなし。ぜひご堪能ください。

 ◇書店員の推薦文 南海ブックス 岡本美紀さん「幸せになるマンガ」

 守りたいものがあったから、たとえ職を失っても自分を曲げない。単なる頑固者ではなく、それを他人のためにできるから、いつの間にか誰からも愛されるキャラクターになっているのがまりもです。

 かつて失踪したシェフが帰ってくるお話では、大好きな音先輩と、蜜の意見が対立してしまう。誰にとって、どういう結果が望ましいか、懸命に考え行動し、周りの人たちの感情も変化させていく。

 自分の意見を持ちながらも、誰かを思うことの大切さ、それを見守る家族や仲間がいる、幸せになるマンガです。

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