乙葉しおりの朗読倶楽部:第30回 夢野久作「お菓子の大舞踏会」 “夢想家”のファンタジー

乙葉しおりさん
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乙葉しおりさん

 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに50万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが「朗読倶楽部」の活動報告と名作を紹介する「乙葉しおりの朗読倶楽部」。第30回は、夢野久作の「お菓子の大舞踏会」だ。

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 皆さんこんにちは、乙葉しおりです。

 つい先日まで期末試験で頭を悩ませていたんですが、ようやく解放されて今は試験休みです。

 朗読倶楽部のみんなで試験終了のお祝いをした後は、張り詰めた空気が抜けきってしぼんだ風船のようになっちゃいました。

 でも、いつまでもしぼんだままではせっかくのお休みがもったいないので、試験が終わるまでは……ってがまんしていた本を読んでます!

 昨日は神保町で古書店巡りをして、面白そうな本を何冊か買ってきちゃいました(*^^*)

 ……って、自分のことばかり考えてちゃダメですよね。

 こういうときこそ、日ごろお世話になっている人のために何かをしないと……。

 というわけで、7月15日は中元の日です。

 中国、道教の「三元」という、「上元」「中元」「下元」の3人の神さまのお誕生日のひとつなんですが、日本では「お中元」の日として広く知られていますよね。

 私たち朗読倶楽部でも、顧問をしていただいている癸生川先生にハンカチを贈りました。

 これから暑い季節ですし、私たちのお財布事情でも無理なく贈れるお中元。

 みなさんも身近のお世話になっている人に、小さなお中元をいかがですか?(^−^)

 ではここで朗読倶楽部のお話、初めての朗読大会の最終回です。

 課題図書を決めた後、精いっぱい練習して臨んだ朗読大会、その結果ですが……。

 残念ながら、朗読倶楽部から入賞者は出ませんでした。

 初めてで入賞できるとは思っていませんでしたけど、それでも心に引っかかってしまったのは、練習のときよりもうまく朗読できなかったからです。

 私は緊張で何度もつかえてしまって……練習と本番はやっぱり違うって思い知らされました。

 やっぱり自分なんかが朗読だなんて無理だったんじゃないかって。

 「入賞できなかったなんてことないよ、参加賞っていう立派な賞がもらえたんだから」

 落ち込んでいる私を元気づけてくれようとしたのか、部長さんが言いました。

 「……つまり、参加賞っていう賞を取ったワケだし、これも部の実績のうちにならないかな?」

 「それはさすがに無理でしょうけど、このまま終わったら悔しいですよね」

 今思うと、悔しがるみかえさんを見たのは、あの時が初めてだったように思います。

 「月並みだけど参加することに意義があったでしょ今回は。最初は度胸付けの練習みたいなもの、まだ四つの大会が控えてるから忙しくなるよ」

 と、先生が私の肩をたたきました。

 ……そうですよね、私に落ち込んでいるヒマなんてないんです。

 みんなの言葉を聞くうちに落ち込んだ気持ちはどこかに飛んでいって、「もっと練習して、次こそうまく朗読する」って思うようになっていました。

 ……と、いうところで、今回はここまでです。

 次回もまた、よろしくお願いしますね(*^^*)

■しおりの本の小道 夢野久作「お菓子の大舞踏会」

 こんにちは、今回ご紹介する1冊は、夢野久作さんの「お菓子の大舞踏会」です。

 探偵小説、怪奇・幻想小説で多くの作品を残し、「ドグラ・マグラ」という「日本三大奇書」の中の1冊を執筆した夢野久作さん。

 お父さんが彼の作品を読んで、「夢の久作が書いた小説」と評したことから付けられた筆名だそうですが、「夢の久作」は九州の方言で「夢想家」のことだとか。

 そんな夢野久作さんが、「海若藍平(かいじゃく・らんぺい)」という別名義を使って、1923年3月15日から19日にかけて、九州日報に掲載したのがこの「お菓子の大舞踏会」です。

 お菓子が大好きな五郎さんは、ご飯も食べずにお菓子ばかり食べていました。

 お父さんとお母さんはそんな五郎さんを心配して、家の中からお菓子をなくし、砂糖までもどこかに隠してしまいます。

 いくら泣いて欲しがってもお菓子をくれず、お説教ばかりの両親に五郎さんは怒りだし、ご飯を食べなくなってしまいました。

 でも、何も食べなければ当然おなかが空きます。

 家で一人空腹で泣いていた五郎さんでしたが、郵便屋さんが届けてくれた小包に目を見開きました。

 それは五郎さんに宛てられた、洋菓子の詰め合わせだったのですが……。

 食料品店のお菓子売り場に行くと、お菓子を欲しがって親に怒られる子供の姿を一度は見かけたことがあるんじゃないでしょうか?

 今から90年近く前のこのお話でも描かれている通り、子供はいつの時代もお菓子が大好きなんですね。

 でも食べすぎはよくないですし、五郎さんのようにお菓子ばかり食べていると、栄養のバランスもめちゃくちゃになっちゃいます。

 「お菓子の大舞踏会」はそんなお菓子が大好きすぎる子供に、夢野久作さんが贈る小さな教訓なのではないでしょうか。

 ……私もお菓子は大好きですけど、カロリーが高いんですよね。

 つい食べすぎてしまいそうなとき、このお話を思い出すようにしています(>_<) 

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