乙葉しおりの朗読倶楽部:筒井康隆「時をかける少女」 ジュブナイル小説の傑作

「時をかける少女<新装版>」作・筒井康隆(角川文庫)の表紙(左)と乙葉しおりさん
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「時をかける少女<新装版>」作・筒井康隆(角川文庫)の表紙(左)と乙葉しおりさん

 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに50万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが「朗読倶楽部」の活動報告と名作を紹介する「乙葉しおりの朗読倶楽部」。第29回は、筒井康隆の「時をかける少女」だ。

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 皆さんこんにちは、乙葉しおりです。

 7月7日は七夕でしたけど、皆さんはどんな願い事をしましたか?

 朗読倶楽部でも小さいですけどササが運び込まれて、星や短冊を飾り付けました。

 小さいササに飾りすぎたせいか、ちょっと垂れ下がっちゃいましたけど……。

 願い事といえば、7月9日、10日には、雷門でおなじみの東京・浅草にある浅草寺(せんそうじ)です。

 この日はほおずき市が有名ですが、それと同時に行われる「四万六千日(しまんろくせんにち)」という行事。

 実はこの「四万六千日」の日に参拝すると、なんと4[万6000日分参拝した御利益があるそうなんです。

 1年365日で割ったら、およそ126年分!

 「お百度参り」もびっくりですよね。

 ところで皆さんはホオズキの花言葉はご存じですか?

 「心の平安」や「自然美」といった言葉のほかに、実は「半信半疑」「いつわり」「ぎまん」といったマイナスイメージの言葉もあるんです。

 もしも四万六千日のご利益は「いつわり」です、みたいな意味があったら、ちょっと泣けちゃいますよね(>_<)

 ちなみにこの浅草寺のお水舎(みずや)には、高村光雲(こううん)さんが造られた「沙竭羅(さから)龍王像」があります。

 高村光雲さんは以前ご紹介した「智恵子抄」の作者、高村光太郎さんのお父さんなんですよ。

 もし浅草寺にお参りに行ったら、ぜひ見てくださいね。

 ではここで、朗読倶楽部のお話、初めての朗読大会のお話の続きです。

 大会に出場するのは、部長さん、みかえさん、そして私の3人。

 部員が3人だけですから、選抜はなく、補欠も見学もなく、いきなりの全員出場です。

 誰がどの課題図書を選んでどの部分を読むか、みんなで話し合って決めました。

 倶楽部の代表、部長の丙絵ゆいさんが選んだのは、ハンス・クリスチャン・アンデルセンさんの「マッチ売りの少女」。

 部長さんは声優志望ということもあって、度胸や声量では倶楽部一なんですが、漢字の読みをよく間違えるというウイークポイントを考えて、難しい漢字や表現のないこの作品になりました。

 甲原みかえさんは、高村光太郎さんの「智恵子抄」。

 みかえさんの朗読は決して失敗しない安定感があるのですが、言葉がゆっくりなので5分を越えてしまわないように文章が短く、みかえさん自身も好きな詩歌を選びました。

 そして最後に私ですが、宮沢賢治さんの「注文の多い料理店」です。

 私の場合は、つかえる、あがるなどいろいろな問題がありますから、一番たくさん読んでいて少しでも慣れている題材、という消去法から選ばれました。

 そして迎えた大会当日、果たしてその結果は?

 ……と、いうところでごめんなさい、また次回に続きます(>_<)

 次回もまた、よろしくお願いしますね(*^^*)

■しおりの本の小道 筒井康隆「時をかける少女」

 こんにちは、今回ご紹介する1冊は、筒井康隆さんの「時をかける少女」です。

 本作品は、学研の「中学三年コース」1965年11月号から、翌年の「高一コース」1966年5月号まで全7回で連載された後、1967年に刊行されました。

 1972年には「タイム・トラベラー」と題名を変えてテレビドラマ化されたほか、1983年、1997年、2006年、2010年と4度も映画化された、幅広い年代層に知られているジュブナイル小説の傑作です。

 ある学校の放課後。

 理科室の掃除を終えた芳山和子さんが、誰もいないはずの実験室からの物音にドアを開けた瞬間、ガラスの割れる音が響き渡りました。

 人の気配に身構える彼女でしたが、床に落ちた試験管から流れ出ていた液体のにおいを「なつかしいかおり」だと感じた瞬間に倒れてしまいます。

 同級生と先生に介抱されて保健室で目を覚ました和子さんは、実験室のことを説明しましたが、怪しい人の気配はもちろん、割れた試験管もどこにもありませんでした。

 この事件をきっかけに、体が宙に浮いているような、不思議な感覚にとらわれはじめる和子さん。

 そして数日後の朝、登校途中で交通事故に巻き込まれそうになった彼女は、なんと前日の朝にタイムリープしてしまったのです……

 もしもこういう力が自由に使えたら、宿題を忘れてもタイムリープすれば大丈夫とか、ちょっとずるい使い方を考えてしまいますよね。

 でも、このお話の主人公の和子さんは、自分に降ってわいたこの力をなくすために行動することになります。

 どうして超能力に目覚めてしまったのか?

 実験室にいた怪しい気配の正体は?

 和子さんは自分の超能力を消し去って、元の生活に戻ることができるのか?

 意外な方向へと展開していくお話に、最後まで目が離せません。

 ドラマや映画版を見た方も、一度その原点を読んでみるのもいいかもしれませんよ(^−^)

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