乙葉しおりの朗読倶楽部:第32回 小泉八雲「雪女」 舞台は青梅?

「雪女」作・小泉八雲、イラスト・伊勢英子(偕成社)の表紙(左)と乙葉しおりさん
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「雪女」作・小泉八雲、イラスト・伊勢英子(偕成社)の表紙(左)と乙葉しおりさん

 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに50万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが「朗読倶楽部」の活動報告と名作を紹介する「乙葉しおりの朗読倶楽部」。第32回は、小泉八雲の「雪女」だ。

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 皆さんこんにちは、乙葉しおりです。

 夏祭りシーズンですね。

 8月上旬には、盛岡の盛岡さんさ踊りや大津のびわ湖大津夏まつり、青森の青森ねぶた祭に伊豆・湯河原の湯河原やっさまつりなど、大きなお祭りが目白押しです。

 私の家の近くでも、もうちょっと先の日付ですけど、盆踊りが開催されるんですよ。

 ご紹介した夏祭りほど大きなものではありませんけど、毎年沢山の人で賑わうので、私も楽しみにしています(*^^*)

 皆さんの近くでは、どんなお祭りが開かれていますか?

 7月30日は新美南吉さんのお誕生日です。

 新美南吉(正八=しょうはち)さんは、1913年に生まれ、1943年に29歳の若さで亡くなるまで、児童文学と童謡を主軸に数多くの作品を発表されました。

 1931年にサーカス団の軽業師と熊の交流を描いた「正坊(しょうぼう)とクロ」を児童文芸誌「赤い鳥」に発表したのを皮切りに、以前ご紹介した「ごん狐」「手袋を買いに」など、生まれ育った愛知県西部の知多(ちた)半島を舞台に、動物や自然と人間のふれあいを描いた数多くの作品を残し、時代を超えて多くの人に親しまれています。

 2013年の生誕100年には、故郷の愛知県半田市の新美南吉記念館で記念行事が予定されています。

 興味のある方は一度訪れてみるのも良いのではないでしょうか(^−^)

 ではここで朗読倶楽部のお話、「初めての夏合宿」の続きです。

 「3日間毎日日帰り」で、先生が考案された練習メニューによる夏合宿、その初日は実は図書館では行われず、いきなり外に出かけることになりました。

 先生の引率で私たちが降り立った場所は、神田神保町。

 たくさんの書店や出版社が立ち並ぶ、世界有数の書店街です。

 ここで先生が私たちに向けて出した課題はただ一つ。

 「合宿用の課題図書を集める」

 ……ということで、図書館になくてジャンルもバラバラの本を集めるため、さまざまな本を網羅する書店街を歩いて本を探すことになったのです。

 さすが先生は司書をされている(あまり関係ないかもしれませんが)だけあって、たくさんある本屋さんの中から必要な本を取り扱っている場所を的確に探し出していき、私たちは主に本を買う係・持ち歩く係として、後をついて歩く形になりました。

 途中、お昼ご飯で先生が紹介して下さったカレー屋さんはとてもおいしかったです。

 夏の暑い季節だけあってちょっとバテてしまいましたけど、楽しい合宿初日でした。

 ……でも、このとき私たちはまだ知らなかったんです……2日目から始まる、大変な特訓のことを。

 その特訓内容とは……と、いうところで、今回はここまでです。

 次回もまた、よろしくお願いしますね(*^^*)

■しおりの本の小道 小泉八雲「雪女」

 こんにちは、今回ご紹介する一冊は、小泉八雲さんの「雪女」です。

 小泉八雲さんはギリシャで生まれ、北米から日本に渡り、日本に帰化された方で、日本のさまざまな文化を欧米に紹介したことから、日本だけでなく海外でも著名な方です。

 このお話も欧米に日本の物語を紹介するために英語で書かれていて、合計17編をまとめた「Kwaidan(怪談)」の中の1作品として、1904年に出版されました。

 武蔵の国のある村に、茂作(もさく)という老木こりと、若い見習い木こりの巳之吉(みのきち)がいました。

 ある冬の晩、森からの帰り道に大吹雪に遭った二人は渡し舟の小屋に避難し、そこで夜を明かすことになりました。

 寒さに震えながらもいつしか寝入っていた巳之吉でしたが、顔に吹き付ける雪の冷たさで目を覚まします。

 雪明かりがついた周囲を見渡すと、恐ろしい目をした白装束の女が、小屋の扉をこじ開け、隣で寝ていた茂作を凍りつかせていたのです。

 あまりの恐ろしさに声も出ない巳之吉でしたが、同時に彼女の美しさに目を離せずにいると、彼女は言いました。

 あなたもこの人と同じにしようと思ったが、まだ若く美しいから見逃そう……ただし、このことを誰かに話そうものなら、必ずあなたを殺す、と。

 巳之吉は、いいつけを守って彼女のことを誰にも話しませんでした。

 そして翌年の冬の晩のこと、木こり仕事を終えて家路につく途中、江戸に行くという一人の女性と出会うのですが……。

 雪女は地方によってさまざまな言い伝えがありますが、このお話は「武蔵の国」という名前が示す通り埼玉から神奈川にかけた関東地区で、現在の東京都青梅市周辺が舞台と言われています。

 2人の木こりが使っていた渡し舟は秋川街道を横断する多摩川とされていて、現在ここにかかっている調布橋のそばには「雪おんな縁の地の碑」があるんですよ。

 機会があったら、ぜひ見に行ってみてくださいね(^−^)

 ※本コラムをしおりさんが朗読する「乙葉しおりの朗読倶楽部」がiPhoneアプ「朗読少女」のコンテンツとして配信が始まりました。1話約20分で250円。

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