神聖かまってちゃん:ネット発のロックバンド 初のオリコントップ10入り

神聖かまってちゃんのセカンドアルバム「8月32日へ」ジャケット
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神聖かまってちゃんのセカンドアルバム「8月32日へ」ジャケット

 4人組ロックバンド「神聖かまってちゃん」が8月31日に発売したセカンドアルバム「8月32日へ」が同月30日付のオリコンデイリーランキングで初登場4位、12日付の週間ランキングで初登場9位を獲得し、初のトップ10入りを果たした。同バンドは、活動開始の08年ごろから、デモ音源を動画サイトやウェブ上で無料公開し、ノートパソコンを使ってライブの無料生放送をするなどネット時代を象徴する新たな活動スタイルでファンを広げてきた。「ニコニコ動画」「YouTube」「2ちゃんねる」などのネットユーザーが生んだバンドが今、“リアル”にもその存在感を示し始めている。

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 「神聖かまってちゃん」は、ボーカルとギター、そして楽曲から映像までを手がける「の子」さん、キーボードの「mono」さん、ドラムの「みさこ」さん、ベースの「ちばぎん」さんの4人組。みさこさん以外の3人は幼稚園時代からの同級生だ。バンド名の由来は明らかにされていないが「誰もかまってくれないからかまってほしい」という意味も込められているという。インディーズから10年3月にミニアルバム「友だちを殺してまで。」、同年7月にシングル「夕方のピアノ」を発売し、同年12月22日にメジャーデビューアルバム「つまんね」とインディーズアルバム「みんな死ね」を2枚同時に発売した。

 彼らは「YouTube」などで楽曲を配信し、インターネット生放送「ニコニコ生放送」でライブやレコーディングを中継。時には雑誌のインタビュー風景や自宅での様子を生放送することもある。結成当初はデモテープを作ってライブハウスに送るという一般的な活動スタイルだったが、次第にの子さんがデモ音源やプロモーションビデオを制作し、ネットに公開する現在のスタイルに変わった。そして「2ちゃんねる」で“自作自演”を繰り返すうち、同バンドを支持する声が高まり、09年、夏の音楽イベント「サマーソニック(サマソニ)」のオーディション「出れんの!? サマソニ!?」ではネットの人気投票で1位に輝き、その出演切符をつかんだ。その後はメジャーデビュー前にもかかわらず、NHKの音楽番組「MUSIC JAPAN(MJ)」にも出演している。

 メジャーデビュー後の11年4月、同バンド最大規模のワンマンライブを「両国国技館」(東京都墨田区)で開催予定だったが、東日本大震災の影響で中止。代わりに企画された全国8カ所での無料ライブには、10日で約2万3000人の応募が殺到した。また同月から同バンドを題材にした映画「劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ」が公開され、約2カ月で約1万5000人を動員し、興行収入2500万円を記録。現在も上映館が全国に広がっている。またの子さんが手がけるミュージックビデオが今年の「MTV VIDEO MUSIC AID JAPAN」で最優秀新人アーティストビデオ賞にノミネートされるなど、メジャーデビューから約半年で“リアル”で人を動かす存在になった。

 楽曲にはニートや、いじめ、引きこもりなど、の子さん自身が経験する今の時代の生きにくさが表れ、の子さんの危ういライブパフォーマンスにも注目が集まる。そして彼らは、メジャーデビュー後もデモ音源やプロモーションビデオ、ライブなどを無料でネット配信し続けている。現在でもメンバーが自ら動画を配信するスタイルをとり、ライブはノートパソコンにカメラを取り付け、マネジャーがステージ横から撮影し、ネットで生放送をする。CDに収録される曲は、約8割がすでに無料でデモ音源が配信されている楽曲で、それらの楽曲は新たにスタジオでバンド演奏でレコーディングされている。

 同バンドの野村一英プロデューサーは「本人たちが配信することが好き。(無料で音楽を配信することに)こだわってますね。彼らはそこから上がってきたと思っているから。自分たちのホームグラウンドだと思っている」といい、今後、同バンドが爆発的な人気を得ても「(無料配信を)やるんじゃないですかね。ライフワークだと思います」と語っている。バンドは、10月2日にニコニコ動画のライブハウス「六本木ニコファーレ」(東京都港区)でのライブを皮切りに大阪、東京、名古屋、新潟、広島、北海道で全国ツアーを行う。(毎日新聞デジタル)

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