乙葉しおりの朗読倶楽部:第42回 グリム童話「ラプンツェル」パセリかチシャか

「ラプンツェル 絵本・グリム童話4」(岩崎書店)の表紙(左)と乙葉しおりさん
1 / 1
「ラプンツェル 絵本・グリム童話4」(岩崎書店)の表紙(左)と乙葉しおりさん

 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに50万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが「朗読倶楽部」の活動報告と名作を紹介する「乙葉しおりの朗読倶楽部」。第42回はグリム童話「ラプンツェル」だ。

あなたにオススメ

 ◇

 皆さんこんにちは、乙葉しおりです。

 秋も半分が過ぎて折り返し地点を越えました。

 私は読書の秋を満喫していて、毎日図書館で本を借りては、家で読みふけっています。

 ……というと、「いつも通りじゃない?」って言われちゃいそうなんですけど、皆さんは「読書の秋」を満喫されていますか?

 さて、今週は3人の作家さんのお誕生日をご紹介させてください。

 まずは10月21日、江戸川乱歩さん。

 日本の推理小説作家の第一人者として有名ですが、実は日本最古の探偵事務所と言われる「岩井三郎事務所」にお勤めしていたことがあったそうなんです。

 以前ご紹介させていただいた「怪人二十面相」を含む少年探偵団シリーズや、探偵明智小五郎の作品群も、もしかしたら、実際の経験が生かされているのかもしれませんね?

 続いて10月23日は奥田英朗さん。

 以前ご紹介させていただいた「イン・ザ・プール」をはじめとする「精神科医・伊良部シリーズ」や、「最悪」「邪魔」などのミステリー作品、「オリンピックの身代金」などのサスペンスも手がけるほか、「サウスバウンド」や「ララピポ」「ガール」など映像化作品も数多い話題の作家さんです。

 そして10月23日はもうひとり、アタゴオルシリーズでおなじみ、漫画家のますむらひろしさん。

 宮沢賢治さんの作品を漫画化しているほか、「銀河鉄道の夜」がアニメーション映画化された際にはキャラクターデザインを担当、01年には宮沢賢治学会よりイーハトーヴ賞を受賞しました。

 ではここで朗読倶楽部のお話、「文化祭」のお話、5回目です。

 初日は充実した活動ができた私たち朗読倶楽部。

 文化祭後半となる2日目の目玉は、みかえさんがお手伝いするコーラス部の出番です。

 幸い部長さんも私も空き時間が取れたので、みかえさんの晴れ舞台を見学するために体育館へ行きました。

 ところが、開演前にみかえさんにあいさつしようと舞台裏に行ってみたら、なにか様子がおかしくて……。

 慌てた様子のコーラス部の方に事情を聞くと、驚いたことに「みかえさんが来ていない」っていうんです。

 彼女とは朝に部室で会っていたので、登校しているのは確かでしたが、一体何があったんでしょうか……。

 部長さんは「校内放送で呼び出す!」と叫んで、早々に飛び出して行ってしまいました。

 私も心当たりを探そうと表へ出ようとしたのですが、なぜかコーラス部の人たちに止められてしまいました。

 そして、コーラス部の部長さんが、今思い出しても恐ろしいことを言ったのです。

 「もう始まっちゃうから、甲原さんの代わりに出て」

 私が突然のお話に固まってしまうと、沈黙を肯定と受け取ったのか、コーラス部の皆さんに舞台へと引っ張られて行ってしまうのでした……と、いうところで、今回はここまでです。

 次回で文化祭のお話は終わりますので、最後までよろしくお願いしますね(*^^*)

■しおりの本の小道 グリム童話「ラプンツェル」

 こんにちは、今回は前回に引き続きドイツ発のメルヘン、グリム童話から「ラプンツェル」をご紹介します。

 日本ではヒロインの特徴である長い金髪から「髪長姫」の名前で紹介されることもあります。

 むかしむかし、あるところに子供を身ごもったばかりの夫婦がいました。

 夫婦の家の裏には世間から恐れられる魔女が住んでいましたが、その庭は花や野菜で彩られた美しいものでした。

 ある日、妻は魔女の菜園にラプンツェルが植えられているのを見つけます。

 彼女はそのラプンツェルを食べたくてたまらなくなり、やがて病気になってしまいました。

 妻と生まれてくる子のため、無断で魔女の庭からラプンツェルを摘む夫でしたが、魔女に見つかってしまいます。

 事情を聞いた魔女は夫に対し、ラプンツェルを好きなだけ渡す代わりに、生まれた子供をもらう約束をさせました。

 その後、妻が産んだ女の子は約束通り魔女に引き取られて「ラプンツェル」と名付けられ、森にある出口のない塔の頂上に幽閉されてしまいます。

 魔女が塔を出入りするときは、彼女の美しく、とても長い金髪をはしご代わりに使っていました。

 それから数年後、塔から聞こえてくる美しい歌声に引かれ、塔の中へ入ることを願う青年が現れます。

 その青年とは、この国の王子様だったのです……。

 このお話はグリム童話12番目の作品で、そのルーツは17世紀のイタリアの詩人ジャンバティスタ・バジーレさんの民話集「ペンタメローネ」に収録された「ペトロシネッラ」といわれています。

 「ペトロシネッラ」はイタリア語でパセリのこと、「ラプンツェル」はドイツ語でノヂシャのこと。

 異なる野菜ですが、どちらも妊婦が必要とする葉酸(ようさん)の摂取に効果的なところは共通しています。

 正確な作者が定まっていない昔話は、地方によってさまざまな違いがあるので、読み比べてみるのも楽しいですよ(*^^*)

ブック 最新記事