「時をかける少女」（06年）や「サマーウォーズ」（09年）で知られる細田守監督の劇場版アニメの新作「おおかみこどもの雨と雪」の製作発表会見が13日、東京都内で行われた。母親目線で描いたという同作について細田監督は「結婚して子どもをもうけるカップルがまわりに何組もいて、そんな夫婦を見ていると、子どもを可愛がっている光景を見て素晴らしいなあと思う」と話し「今までのヒロインは女子高校生とか現実的なところから入っていったが今回は趣向を変えて理想的なお母さん“聖母”を形にしたいと、（キャラクターデザインを手がける貞本義行さんと）話し合った」と明かした。

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　最新作は「親子」がテーマといい、19歳の主人公・花の“おおかみおとこ”との出会いから恋愛、結婚、出産、子育て、そして子どもたちの“おおかみこども”の成長と自立までの13年を描く。映画は、大学生の花は“おおかみおとこ”に恋をし、2人は二つの新しい命を授かる。雪の日に生まれた姉は“雪”、雨の日に生まれた弟は“雨”と名付けられ、“おおかみこども”として育っていく。“おおかみこども”であることを隠すため都会の片隅でひっそりと暮らす4人だったが、突然の“おおかみおとこ”の死を機に、花は都会を離れ田舎町に移り住むことを決心する……という展開。

　物語に登場する田舎町は富山県をイメージしたといい「主人公の花は、美しくも厳しい生活するのに楽ではないところに行く気がした。スタッフの出身地を聞いて回って富山にたどり着いた。僕が生まれ育った場所でもあるし土地勘もあるので」と話した。また、同映画の製作中に東日本大震災が起こり「1人では生きていけないと感じたし、作品に大きく影響した。決して楽ではない状況の中でどうやってすくっと立って生きていけばよいのか、子どもたちという未来を支えて次の世界に結びつければいいのかを3月の出来事から思い知った。本当に大事なものは何だろうと作品を通して考えていければと思う」と作品への思いを語った。

　前々作「時をかける少女」では仲里依紗さん、前作「サマーウォーズ」では桜庭ななみさんがヒロインの声を担当したが、今作のキャストは「有名無名関係なく」選考中だという。また、同映画の制作にあたり新たにスタジオ「スタジオ地図」が設立されたことも発表され、会見に同席したスタジオジブリ作品のプロデュースでも知られる日本テレビの奥田誠治エグゼクティブプロデューサーは「（スタジオジブリとは）プロデューサー同士の交流もありますし、細田監督は自身のアニメ製作を確立して、お互いいい関係でやっていけたらと思う」と話した。（毎日新聞デジタル）