20日に急性肝不全のため、61歳で亡くなった映画監督の森田芳光さんの告別式が24日、東京・青山葬儀所でしめやかに営まれ、関係者やファンを含め、400人が訪れた。映画「間宮兄弟」(06年)で映画デビューを果たした女優の北川景子さんは「すごく急だったんですけれど、もう一回お会いしたかった……。本当に残念です」と泣きくずれ、「日本中の皆さんが森田監督のおかげで、元気になったり、幸せになったりしたと思う。本当にありがとうございました」と森田さんに呼び掛けた。
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北川さんは「お亡くなりになったと聞いたとき、一番はじめに会ったときのことを思い出しました」といい、「18歳のときに『間宮兄弟』のオーディションで、『私のことを誰か分かりますか』と(森田さんが)お聞きになって、『すみません分かりません』と言った。このオーディションはダメだなと思った。でも、選んでくださって、そこから女優としての道が始まった」とエピソードを語り始めた。森田さんについては「どのような女優になったらいいと思いますかと聞いたときに、『ありのままの北川さんがとてもすてきだと思うので、やめないで女優を続けてください』といわれ、その言葉通りに頑張ってこられた。大きな存在です」と声を震わせた。
「間宮兄弟」で主演を務めたお笑いコンビ「ドランクドラゴン」の塚地武雅さんは、「ドラマや映画に今、出させてもらっているのは監督のお陰。(映画を見て他の人にも)こいつ、(芝居も)いけるな、と思ってもらえて、仕事の幅が広がった。感謝してもし切れない」と語り、「シャイな人で目を合わさずしゃべるけど、いたずらを仕掛けてきて“ヒヒヒ”と笑う。(ありし日の表情を)想像すると笑い顔しかない。寂しさ倍増です」と悲しんだ。「ここ何年かで、ちょっと(芝居の)腕をつけてきたと思うんです。なので、ちょっと見ててくださいよ……」と森田さんに呼び掛けた。
森田監督は東京都出身。日本大芸術学部出身で、自主製作の「ライブイン茅ケ崎」(78年)が評価され、コメディー「の・ようなもの」(81年)で商業映画デビュー。松田優作さんが風変わりな家庭教師を演じた映画「家族ゲーム」(83年)で監督としての名声を確立。その後は夏目漱石の名作に挑みキネマ旬報ベストワンになった「それから」(85年)、とんねるずを起用したコメディー「そろばんずく」(86年)など多彩なジャンルの作品を手掛けた。渡辺淳一さん原作の「失楽園」(97年)、向田邦子のドラマをリメークした「阿修羅のごとく」(03年)、黒澤明監督の名作を同じ脚本で再映画化した時代劇「椿三十郎」(07年)、加賀藩の御算用者を題材にした「武士の家計簿」(10年)など、精力的に作品を発表し続けた。12年3月公開の「僕達急行 A列車で行こう」が遺作となる。(毎日新聞デジタル)
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